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夢幻水滸伝

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第二百五十九話 貴州省掌握からその十三

「術を使ってでもすぐに」
「そうせんと昆明が危ういか」
「はい、どうでしょうか」
「そやな、私がゲリラ戦を提案したけど」
「私も賛成しましたが」
「相手が守りを固めていて仕掛けられんし」
「それやとです」 
 さらにというのだ。
「ここで機会を伺ってです」
「貼り付いてるとな」
「昆明の方がおろそかになって」 
 そうなってというのだ。
「そしてです」
「攻められるな」
「本拠地を陥とされますと」
「こっちは根無し草になってな」
「また本拠地を失ったのを見て」
「省の中立を言ってる街や村もな」
「かなりです」
 その彼等もというのだ。
「あちらにつきます」
「そやな、ほな戻ろうか」
「そうしましょう」
「そうしよな、しかし半分があっちにつくか中立になるなんてな」
 ここで花華は腕を組んで難しい顔になって言った。
「驚いたわ」
「すいません、私の統治が至らないばかりに」
「いや、緑麗ちゃんの統治は善政でな」
「それで、ですか」
「民にも慕われたやろ」
「そうでしょうか」
「あれは施さん達の名声が凄いんや」 
 その為だというのだ。
「神星でや」
「しかも瞬く間に大勢力になりましたね」
「中国の南の大半を掌握したな」
「六億以上の民を擁し」
「しかも善政を敷いて民も国を富ましてる」 
 このこともあるというのだ。
「そやからな」
「名声もかなりですね」
「その施さんから誘われるとな」
「どうしてもですね」
「尚且つ強いし大軍で来た」
「何も害は及ぼさずとも」
「無言の圧力になるさかいな」
 施の武勇と彼が率いる大軍はというのだ。
「それでや」
「私達の統治から離れてですね」
「そしてや」
 そのうえでというのだ。
「あっちに降るかな」
「中立化しますね」
「半分な、むしろまだ半分こっちについてくれてる」
「そのことがですね」
「有り難いと思うべきやろな」
「そうですか」
「そう思うわ、しかし施さんは戦場だけやないな」
 花華は難しい顔で首を捻りつつ緑麗に述べた。
「政もな」
「お見事ですね」
「戦場で戦うだけやなくな」
「省の街や村に声をかけて引き入れる」
「そうしたこともするなんてな」
「思いませんでしたか」
「そこまでするなんてな」
 それはというのだ。
「思わんかったわ」
「そうですね、そう言われますと」
 緑麗も応えて述べた。
「私もです」
「大軍で省を攻めてくると思ったな」
「そうでした」
「それがまずな」
「この様にですね」
「省の街や村に声をかけてな」
 そうしてというのだ。
「降る様に言うなんてな」
「思いませんでしたね」
「ああ、ただ戦は政の中にあるさかいな」
「政ですね、大事なのは」
「そや、それで政で仕掛けてくるのはな」
「戦をするにあたって有効ですね」
「ええ手や、施さんの方が私達より二枚も三枚も上手か」
 腕を組んでこうも言った。
「こと戦は」
「政でも攻めてくることを考えますと」
「ほんまにな、それで昆明を攻め落とされたら」
「若しそうなれば」
「もう今中立になってる街や村は雪崩をうってあっちについてや」
 施達の勢力にというのだ。
「そしてや」
「今こちらについている街や村もですね」
「そうなるわ」
「そしてこの雲南省は」
「施さんのものになるのが確実になるわ」
「そうなりますね」
「そしてチベットや四川省の民もそれを見てな」
 そうしてというのだ。 
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