夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百五十七話 懐化からその十二
「ええですか。民達には一切です」
「手出しをしない」
「そうですね」
「助け守るべき相手なので」
「そうです、自分の妻子や兄弟が脅かされたらどうですか」
王は彼等に話した。
「そして両親が」
「そう考えますと」
「乱暴狼藉は出来ないですね」
「自分の親兄弟妻子がそうされると思うと」
「決して」
「そうです、武勲を挙げれば報酬は出ます」
給与と共にというのだ。
「そうですさかい」
「民から奪わず襲わず」
「それよりも武勲を挙げよ」
「そう言われるのですね」
「そうです、ではこれよりです」
花華がいる官邸を見て話した。
「攻めましょう」
「あの官邸を」
「見ればかなりの兵がいますが」
「あの官邸をですね」
「そうしましょう」
こう言ってだった。
蒲は多くの兵達を率いて官邸に向かった、そのうえで官邸に至ると包囲にかかった。
花華はこの時官邸にいた、ここで市長に話した。
「文官はです」
「避難ですか」
「そうして下さい」
オークの中年女の市長に話した。
「間もなく戦になるので」
「それでは杜様は」
「戦います」
この官邸でというのだ。
「最後まで」
「あの、そうしますと」
市長は怪訝な顔になって花華に話した。
「花華様はここで」
「捕虜になることもですか」
「有り得ますが」
「それは覚悟のうえですが」
「以後も戦は続きますので」
市長は花華にこのことも話した。
「ですから」
「ここで捕虜になる様なことは」
「下策では」
「ではここは」
「はい、下がられて」
そうしてというのだ。
「戦われては」
「最初はその考えでしたし」
「はい、今の状況はどうでしょうか」
「敗北は決定的です」
花華は冷静な声で答えた、ダック族の目も落ち着いている。
「最早」
「それではです」
「これ以上の戦は損害を出すだけですね」
「ここは私が無血開城の使者になりますが」
使者は自ら申し出た。
「どうされますか」
「いえ、それには及びません」
花華は市長の申し出を退けてから話した。
「もう兵をです」
「退けますか」
「そうしてです」
そのうえでというのだ。
ページ上へ戻る