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夢幻水滸伝

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第二百五十六話 湖南省からその十二

「しかしな」
「それで増税はですね」
「せん、それ位ならな」
「借りますね」
「そうするわ、梁もデオリンダちゃんも貸してくれる」 
 こちらが借金を申し出ればというのだ。
「ちゃんとな。そやからな」
「その際はですね」
「借りる、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「戦費を調達するで」
「そうしますね」
「そや、絶対にな」
 まさにというのだ。
「増税はせん」
「それなら借金ですね」
「そうするわ」
「そして踏み倒しませんね」
 紅美はそちらの話をした。
「そうですね」
「それやったら信用完全に失うからな」
「はい、確実に」
「あのカエサルさんも踏み倒さんかった」
「そうでしたね」
「アホみたいな借金こさえたけどな」
 この話が今も伝わっている程だ。
「政治資金も女の人と遊ぶお金も全部借金で賄ったさかいな」
「本を買ってもですね」
 書は長い間貴重な財産であったがだ。
「そうでしたね」
「お金がないなら借りろ」 
 これがカエサルの考えだった。
「それでいってや」
「莫大な借金をもうけましたね」
「しかし踏み倒さんかった」
 額があまりにも巨大になり返す人間に何かあってはそれが返らないので何時しか借りているカエサルの方が立場が上になっていてもだ。
「最後はな」
「返しましたね」
「そして逆にや」 
 借金王からである。
「財産が出来た」
「そうでしたね」
「そやから批判されてない」
 カエサルの面白い逸話の一つとはなっている。
「それを見てもな」
「借金は返すもんですね」
「日本もそうしたしな」 
 起きた世界で今自分達がいる国もというのだ。
「日露戦争で莫大な借金を持ったが」
「全部返してるわ」
 郭が言ってきた。
「長い時間かけてな」
「そやな」
「ほんま莫大な借金やったが」
 当時の日本の国家予算の数年分であった。
「それを全部な」
「日露戦争の後ほんまに辛かったが」
 文字通り借金で首が回らなくなっていた、日本の歴史家の一部が言う様に日露戦争で得た利益を見て戦争は儲かるものだと錯覚したどころではなかったのだ。むしろこんなことを言っても普通に歴史家として通用した戦後日本の歴史学会のレベルを疑うべきではなかろうか。
「しかしな」
「しっかりとですね」
「完済したわ」
「そやったな」
「やっぱり金は返さんとな」
「あかんわ」
「悪質な高利貸しは訴えるが」
 それでもというのだ。 
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