八条学園騒動記
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第六百六十九話 勝ったということにしてその十四
「サンドイッチにな」
「フルーツですね」
「それも摂る、あとサンドイッチもじゃ」
メインとするこの料理もというのだ。
「ワインに合うのう」
「パンはそうですね」
「だからこちらを食べる時もな」
「ワインは飲まれますか」
「そうするやもな」
「そうですか、じゃあ僕は」
野上君は博士にあらためて話した。
「焼肉とです」
「ビールじゃな」
「それを楽しんできます、それで最後は」
〆、それはというのだ。
「アイスですね」
「最後はそれか」
「それを考えています」
「〆は麺ではないのか」
「焼肉ならですね」
「この場合は冷麺であるな」
韓国料理のそれである、緑豆を使った麺でありそのコシは極めて強く食べがいがあるものとして有名である。
「そうであるな」
「それも食べますが」
「その後でか」
「焼肉の途中に食べます」
冷麺はというのだ。
「それで、です」
「その後でか」
「はい」
まさにというのだ。
「アイスです」
「デザートは忘れぬか」
「それがないと」
どうしてもという言葉で語った。
「飲むとです」
「足りぬか」
「僕としては」
「そうであるか」
「博士もそうですよね」
「和食以外ではな」
「和食だと違うんですか?」
野上君は博士にそのことを尋ねた。
「そうなんですか」
「和食はお茶漬けじゃ」
これだというのだ。
「〆はな」
「ああ、お茶漬け食べてですね」
「すっきりするのじゃ」
「それが和食の時ですね」
「しこたま飲んでな」
そうしてというのだ。
「それで最後にじゃ」
「お茶漬けを食べて」
「すっきりしてな」
そうなってというのだ。
「終わるのじゃ」
「それが和食の時の博士ですね」
「そうじゃ、ではわしは研究所で楽しむからのう」
博士の自宅でもある、だから博士にとっては研究所はこれ以上はないまでにくつろげる場所であるのだ。
「野上君もな」
「はい、焼肉屋さん行って」
「ビールとじゃな」
「焼肉食べてきます」
「そうするとよい、では帰るぞ」
こう言ってだった。
博士は意気揚々として帰った、敗れたということになっているがその姿は決して敗者のものではなかった。
勝ったということにして 完
2022・5・24
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