おっちょこちょいのかよちゃん
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229 立ちはだかる妨害者
前書き
《前回》
さりの護符を狙う赤軍の西川と戦争主義の世界の人間・アンドリューと交戦するさり達の元に冬田、湘木、そして三河口が加勢した。だが三人の加勢をもってしても西川の飛行機やアンドリューの天然痘を媒介する毛布に翻弄される。その時、さりの護符が道具を持たぬ三河口に道具があればという願いより光だし、三河口の元に棘付きの鎖鉄球が現れる。三河口はその鎖鉄球を使用する事で湘木と共にアンドリューを討滅し、西川をまる子の姉の宝石と本山こういちのトランペットの能力で戦闘不能にした。そしてフローレンスによる西川の回収をさり達は待ち、三河口は杖の奪還の為に鎖鉄球を仮の得物として湘木、冬田と共に先へ進むのだった!!
かよ子は自分の奪われた杖を取り返す為に羽根を急がせていた。そんな時通信機が鳴る。
『こちら三河口。俺達も杖の取り返しに協力するよ。追い付くか解らんけどね』
「う、うん、ありがとう・・・」
『全く、とんだおっちょこちょいをやってくれたな』
「ご、ごめんなさい・・・」
かよ子は以前、蘇我氏の人間に杖を騙し取られて三河口に叱責を喰らった事があったので彼にも申し訳なく思っていた。
(お兄ちゃんにまで迷惑かけちゃった・・・)
「山田かよ子、落ち込むな。手を差し伸べてくれる者が増えたという事だ」
「う、うん、そうだよね・・・」
かよ子は気を取り直した。兎に角今は奥平を追うしかない。
「それでりえちゃんはピアノが得意なんです。今度の春は全国ピアノコンクールに出る予定なんです」
「ピアノが得意なのね・・・」
奏子は今自分が助けに行こうとしている安藤りえという少女の事を彼女の友達というみゆきと鈴音から聞いていた。
(ピアノ・・・。かず子ちゃん、どうしているのかしら?)
奏子はその安藤りえという少女と近所に住む知り合いの笹山かず子という少女との共通点からその知り合いの少女の事が頭に浮かんだ。
「かよちゃんの杖が取られたってまたとんでもない事になったわね」
ありや悠一はかよ子の杖が取られたと言う報告を受けていた。彼女達も手助けしたい気持ちはあったが杯の所有者の安否も心配であり、自分達の行動も中断する訳にもいかなかったのである。
「ああ、だが他の奴に頼むしかないな。こっちも先を急いでいるし」
「うん」
その時、濃藤と北勢田が敵襲の予感を感じ取っていた。
「敵が来てるぞ。しかも複数だ」
「何だと!?皆の者、用意するのだ!」
同行していた項羽も戦闘態勢に入る。
「あっちやな!」
鎌山が鎌を振るう。風の刃を飛ばした。地面で爆発し、馬車が数台あった。
「貴様ら、何だ!?」
馬車から人が降りてきた。三人、フランスの革命家のような人間が現れた。そしてもう一人、別の男もいた。
(あの男は・・・!!)
「お前、東アジア反日武装戦線だろ!?」
「お前らはいつか杯を奪うのに邪魔した奴らか。よく分かったな」
ありは神を呼び起こす。そして風の神、レラカムイが現れた。
「今はお前らの相手をしている場合ではないのだ!!」
革命家のような男がギロチンの刃を出現させた。あり達の首を襲うが武装の能力で何とか防ぐ。レラカムイも他の皆を襲う刃を何とか破壊した。
「しぶといな!だが、ギロチンはこれだけではないぞ!八つ裂きにしてくれる!!」
男は更にギロチンの刃を出して一行を襲った。
「させませんわ!」
「くたばってたまるか!!」
濃藤が運命の剣を突き刺してギロチンの刃を止める。そして虞美人が花を出現させて皆を花の光を浴びせて瞬間移動した。
「行っちまったか」
「まあ、俺達の相手はあいつらじゃねえ。先へ行くぞ」
四人は留めを刺さずに何処かへ行ってしまった。
あり達が移動した場所は戦闘現場からそう遠くはなかった。
「逃げられた・・・?」
「本来ならば容赦なく我々を殺める筈だ。それをしないというのは他の用件があるのだろう」
「それなら奴等を捜索するか!?あり、神には鳥の神もいた筈だ」
「ええ、今出すわ」
ありは別の神を召喚する。鷲の神、カパッチリカムイと鳶の神、ヤトッタカムイが現れた。
「2匹共、反日武装戦線の男と連れの三人を追って!」
「了解」
2匹は敵を捜索しに向かった。
反日武装戦線の一人・佐々木規夫はカムイを使う女達から逃れてロベスピエール達と共に杖の所有者の始末の為の同行を続けた。
「全く、邪魔が入りやがって」
「気にするでない。あの反逆者達は我が妹に出向かわせておく」
ロベスピエールはベルを鳴らした。
『お兄様、お呼びですか?』
ベルから声が聞こえた。
「中央当たりのカムイとか叫ぶ女がいた。そいつらを同志達と共に片付けて来い」
『はい、オーギュスタンも連れて行きます』
「よし、頼んだ」
通信が終了した。
「我が妹のシャルロットや弟のオーギュスタンに倒させる」
「それなら追われる心配ないな」
佐々木は安堵した。
本部の管制室。かよ子達の同行を先代の杖の所有者・山田まき子は確認しながら娘を心配する。
「かよ子は敵の本部に近づいてるけど、杖を持って行った人はそこに運んでるって事?」
「そうなるね。おそらく本部に持ち込んで保管するか、あるいは剣を取り返された後だからその先を考えて別の場所に運ぶかもしれない」
イマヌエルが説明した。
「それに安藤りえ君の杯も戦争主義の世界の本部に置いているような形跡が確認できないから他の場所に保管して眩ませるかもしれない」
「杯は今、何処にあるのか分からないの!?」
りえの母は尋ねた。
「ああ、安藤りえ君は今通信機を没収されたらしく、途中で彼女を位置を示す点が消えてしまっているんだ。杯は今彼女と同じ場所にあるのか、それとも本部か、それとも誰かが持っているのか・・・」
「この地図には載らないの?」
「残念ながらこの地図にはその道具の行方は反映されないんだ。神通力などの能力を持つ道具の所有者に頼らざるを得ない」
「そうなの・・・」
「それにしても山田かよ子君達の所に東アジア反日武装戦線か日本赤軍、そして戦争主義の世界の人間が近づいている!」
「ええ!?」
「それからこの者達はフランスで革命を起こしたにも関わらず恐怖政治を行ったロベスピエールの連中だ!!」
「ロベスピエール・・・!?」
「羽柴奈美子さんの娘の煮雪あり君達と先程戦っていた相手だ!」
「ありが!?」
先代の護符の所有者は地図を確認する。安藤りえを取り返しに行かんと動く次女の点があった。更に夫の悠一やりえの友達、彼女らの協力者もいる。
「ありも追い掛けてるみたいなんね」
「もしかしたらかよ子達と合流するかも」
「兎に角、連絡しておこう」
「私がやるわ」
まき子は通信機を取り出した。
かよ子達の元に通信機が鳴る。
「こちら山田かよ子」
『かよ子、お母さんよ』
「お母さん!?」
『今かよ子達の所に敵が来てるわ!準備するのよ!』
「で、でも、杖がないと・・・」
『その羽根で守ったりするのよ!後は他の皆に任せるなりすればいいわ』
「あ、うん!」
(そうだった・・・。またおっちょこちょいしちゃったよ)
「よし、山田かよ子!我々を羽根から降ろして戦闘態勢に入らせるのだ!お主は羽根で我々を結界で守るなどをせよ!」
「うん・・・!」
次郎長の命令でかよ子は羽根を降ろし、皆はそこから降りた。
「何奴、出会え!」
友蔵は歌舞伎の真似をしながら吠えた。
「爺、お主は羽根から降りんでも良かったんじゃねえか?」
仁吉は言った。
「じゃが、儂はまる子を守る為に・・・」
「死んでもしらねえよ!」
その時、爆発音が遠くから聞こえた。
「来たか!?」
次郎長は刀を降るう。爆風がかよ子達の元へと襲って来た。それを次郎長の刀によって地面の壁が作られ防がれた。
「来たか、奴等が!!」
その時、次郎長が作り出した土の壁が粉々に八つ裂きにされた。
「何!?」
かよ子達に無数のギロチンの刃が飛ぶ。
「い、嫌ーー!!」
かよ子の防御の武装の能力が発動された。ギロチンの刃は弾かれ、消滅した。
「はあ〜、ワシゃ死ぬかと思ったよ」
友蔵が安堵した。
「我らのギロチンを異能の能力だけで回避するとは相当面倒臭い奴等だな」
四人の男が現れた。
「貴様らが我々の妨害者だな!?」
「ああ、取った杖を奪い返されんようにせよと房子様から言われているんでな!」
「ダントン、マラー、戦闘開始だ!」
「よし!」
「くたばって貰うぞ!」
杖を取り返すにはこの集団を突破しなければならない。
「マラー、あの小娘を殺しに行けるか!?」
「あいよ!」
マラーと呼ばれた男は動き出す。
「なぬ!?させるか!」
石松や小政、綱五郎の迎撃をかわしてマラーはかよ子へと近づく。
「な・・・!」
「さて、お嬢ちゃん、手術の時間だ」
かよ子は目を瞑る。マラーは跳ね飛ばされた。
「流石、異能の能力だな。先ずはそれを消させて貰うように施すか!」
「かよちゃん!」
「山田!」
まる子や大野、ブー太郎がかよ子の防御に動く。
「おおっと、お前らは俺が始末してやる。この佐々木規夫がな!」
大野達の前に東アジア反日武装戦線の佐々木が立ちはだかる。そして大地に地割れを起こし、三人の小学三年生は地割れの裂け目に落ちる。
「ま、まるちゃん、大野君、ブー太郎!!」
かよ子は絶叫した。
後書き
次回は・・・
「ジャコバン派の三巨頭」
東アジア反日武装戦線の佐々木、そして戦争主義の世界の人間・ダントン、マラー、そしてロベスピエールと交戦するかよ子達。マラーの術によって異能の能力が使えなくなってしまったかよ子、そして地面の裂け目に落ちた大野、ブー太郎、まる子は無事なのか・・・!?
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