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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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最終幕~終焉の夜明け~ 第142話

2月22日、同日AM10:00――――――



ハーケン会戦後ヴァンダイク元帥の遺体を回収してヴァンダイク元帥の墓を作って手厚く葬った翌日、ヴァンダイク元帥の死に消沈していたアリサ達にオリヴァルト皇子が招集をかけた。



~カレイジャス・ブリーフィングルーム~



「改めてにはなるが………昨日は本当にすまなかったね……肝心な時に君達の力になれなくて……」

「いえ……」

「殿下達は一人でも多くの兵達を生還させる為に、激しい空戦が繰り広げてられている戦場の空で残存しているエレボニアの空挺部隊の説得をされていたのですから……そのお陰で、殿下達の説得を受け入れた空挺部隊の兵達は生き残る事ができたと伺っています。」

「それに例え皇子達が加勢した所で、全員”白銀の剣聖”に制圧されたでしょうから、結果は同じだったと思うわよ。」

「セリーヌ、それは………」

「……話には聞いていたけど、そんなに強かったの?”白銀の剣聖”とやらは。」

申し訳なさそうな表情を浮かべたオリヴァルト皇子に謝罪されたラウラとユーシスはそれぞれ答え、静かな表情で呟いたセリーヌの推測を聞いたエマは複雑そうな表情を浮かべ、シェラザードは複雑そうな表情でアガット達に訊ねた。

「はい……私にアガット先輩、それにシャロンさんが子爵閣下達と戦って私達を制圧した時ですら、”本気”を出していなかったんです……」

「”本気”を出されたシズナ様とまともにやり合えるのはそれこそ達人(マスター)クラスの中でも相当な使い手――――――結社で例えるならば、最低でもレーヴェ様でなければ、対抗できないと思いますわ。」

「もしオリビエ達が加勢したとしても、シェラザードとオリビエは間違いなく俺達のように制圧されただろうな。中佐だったら子爵達と共にやり合えたかもしれねぇが……」

「いや………話に聞く所、本気を出した”白銀の剣聖”は”本気”を出した子爵閣下と拮抗していたとの事だから、恐らく俺もアガット殿達のように制圧されていただろう。」

シェラザードの質問に対してアネラスは複雑そうな表情で答え、シャロンは静かな表情で推測し、悔しそうな表情を浮かべたアガットの推測を聞いたミュラーは重々しい様子を纏って答えた。

「”白銀の剣聖”が俺達の予想を遥かに超える使い手だったというのもあるが、”灰獅子隊”に協力していた”裏の協力者”達もこちらの想定を遥かに上回っていたのだから、例えあの場に”白銀の剣聖”がいなかったとしても、結果は同じだろう。」

「…………………」

疲れた表情で溜息を吐いたジンの話を聞いてヴァンの顔をふと思い出したエレインは複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「えとえと……昨日の大戦での連合軍やヴァイスラント新生軍、それに王国軍の猛攻から生き残ったエレボニア帝国軍の人達はどのくらいなんですか?レンちゃんは約50万人が動員されていたって言っていましたけど……」

「王国からの連絡によると昨日の大戦後降伏した約20万人のエレボニアの兵達が捕虜になったとの事だよ……」

「に、20万人という事は30万人もの犠牲者が……」

「エレボニアにとっては”歴史的大敗北”となる莫大な犠牲者の数だな……」

「そして”事実上の決戦””で敗北した事で、エレボニアにとっては”冬の時代の到来”になるのだろうな……」

「はい……問題は連合が敗戦後のエレボニアに対してどのような処遇を考えているかですね……」

ティータの質問に答えたトワの話を聞いたマキアスは辛そうな表情を浮かべ、重々しい様子を纏って呟いたラウラとユーシスの言葉に頷いたセドリックは複雑そうな表情を浮かべた。

「少なくても”エレボニアが存続する事は確実”なんじゃないの?既に敗戦後のエレボニアの処遇を決めていたメンフィル帝国政府の考えを知っていたセシリア将軍も断定していたし。」

「そしてこの戦争で昨日の大戦の件も含めて今までの活躍をメンフィルに認められたリィンはメンフィルの予定通りメンフィルに保護される事になるエレボニアの”総督”に大出世するんだろうね。」

「リィン………」

静かな表情で呟いたフィーと疲れた表情で呟いたミリアムの話を聞いたアリサは辛そうな表情でリィンを思い浮かべ

「……奇しくもリィン達がこの戦争でメンフィル帝国側として活躍し、メンフィル帝国内で出世した事でリィン達の”目的”――――――”エレボニアを救う”事を達成する事になるのか……」

「そうだね……メンフィル帝国の”思惑”も関係していたとはいえ、エレボニアを救う為に下したリィン君達の判断は”正しかった”事が証明されてしまったね……」

「く……ッ!それもこれも、あの腹黒女将軍の汚い策のせいよ……!あの女のせいで、リィンが自らの手で学院長を討つ羽目になったのよ!?」

ガイウスとアンゼリカはそれぞれ複雑そうな表情で呟き、サラは悔しそうな表情で唇を噛み締めた後怒りの表情で声を上げた。



「サラ教官………」

「……貴女達にとっては大切な存在だったヴァンダイク元帥の戦死の件でメンフィル帝国軍の総参謀のセシリア将軍に怒りを抱くのは無理もないけど、少なくてもヴァンダイク元帥の件でセシリア将軍を恨むのは筋違いよ。」

サラの様子をエマが複雑そうな表情で見つめている中、シェラザードは静かな表情で指摘した。

「何でそんなことが言えるのよ!?あの女がリィン達に灰獅子隊としての要請(オーダー)を出していた元凶じゃない!」

「そうね。――――――だけど、”昨日の大戦に関しての要請(オーダー)を出したのはセシリア将軍ではなくカシウス先生”だとレンも断言した事を忘れたのかしら?」

「ッ!!」

シェラザードの指摘に対して反論したサラだったがシェラザードが語った正論を聞くと息をのみ

「カシウス先生にしても、セシリア将軍にしても、”軍人として適切な判断を降した”だけでそこに”自分達の私情”は含んでいないでしょうから、もっと冷静になって考えた方がいいわよ。」

「シェラ先輩………」

「そうだね……それにヴァンダイク学院長が責任を取る為に自ら”死兵”になってしまった一番の原因は今回の戦争を勃発させた宰相殿と、そんな宰相殿を重用した父上だよ。」

「はい………」

静かな表情でサラに指摘する様子のシェラザードをアネラスは複雑そうな表情で見つめ、シェラザードの意見に同意して話を続けたオリヴァルト皇子の意見にセドリックは辛そうな表情で頷いた。



「――――――で?メンフィルが将来の戦争が起こった時にエレボニアを食い物にする為に、恩着せがましくエレボニアを保護してシュバルツァーを事実上のエレボニアのトップに君臨させる話を知って、連合がアンタ達に正式にエレボニアの処遇を言い渡す前に対策とかしなくていいのかよ?」

アッシュは目を細めてオリヴァルト皇子を見つめて訊ねた。

「ハハ……対策も何も、エレボニアが完膚なきまでに”敗戦”してしまった以上、私達は連合―――――いや、メンフィルがエレボニアに要求する条約内容を実行するしか選択肢はないよ…………」

「条約内容は間違いなく戦争勃発前にメンフィル帝国がエレボニア帝国に要求した3度目の条約内容よりも厳しい条約になるでしょうね……」

アッシュの問いかけに対してオリヴァルト皇子は疲れた表情で、トワは辛そうな表情で推測を口にした。

「あ、あの条約内容よりも厳しい条約ってどんな条約になるんだ……!?」

「……セシリア将軍がお前達に語った話から推測するに、恐らくエレボニアが莫大な戦争賠償金をメンフィルに支払わなければならない条約は追加されているだろうな。」

「それと領土割譲の件もだな。戦争勃発前に要求した領土の一部――――――クロイツェン州を”焦土作戦”で壊滅状態に追いやった件もあるから、その件に関する賠償金もそうだが、下手すれば戦争勃発前以上の領土割譲を間違いなく要求してくるだろうな。」

「……………………」

「ただ、ミュゼ君達――――――ヴァイスラント新生軍が戦争序盤から今まで連合に協力し続けた件もある上、ミュゼ君がリウイ陛下達との交渉で戦争勃発前にメンフィル帝国が要求した条約の一部の撤回や譲歩に成功していたとの事だから、それらが敗戦したエレボニアが実行しなければならないメンフィルの要求内容にどう作用するかが鍵となるかもしれないね。」

不安そうな表情で呟いたマキアスの疑問に対してミュラーは重々しい様子を纏って、アガットは真剣な表情でそれぞれ推測を口にし、アガットの推測を聞いたユーシスは辛そうな表情で黙り込み、アンゼリカは静かな表情で呟いた。



「つーか、確かに昨日の大戦でエレボニアは敗戦しちまったが、肝心のギリアス達もそうだが、”全ての元凶”――――――”黒の騎神”もまだ健在という問題に関して連合はどうするつもりなんだ?」

「ま、普通に考えたら圧倒的戦力差でオズボーン宰相達を抹殺するんじゃないの?昨日の大戦でエレボニアのほぼ全戦力が投入されたんだから、現在残存しているエレボニアの僅かな戦力だけで連合――――――メンフィル帝国軍相手に大逆転なんてできないだろうし。」

「そうだな……そしてその決戦には”全ての元凶”を討つ為に間違いなくセリカの旦那達も参戦するだろうし、”空の女神”やアドルの旦那達”空の女神”の一族の面々、そしてエステル達や神父達も参戦するだろうな。」

「当然その決戦にはリィン達も参加するでしょうし、その中にはロゼもいるでしょうね。」

「ええ………姉さんを許してもらう代わりにお祖母(ばあ)ちゃん自身がメンフィル帝国軍側として参戦するのは2回だから、後1回参戦義務が残っているでしょうし……」

呆れた表情で呟いたクロウの疑問に対して答えたフィーの話に続くようにジンは静かな表情で答え、セリーヌとエマはそれぞれローゼリアを思い浮かべて複雑そうな表情で答えた。

「………”焦土作戦”もそうだけど、”アルスター襲撃”の件を強く責任を感じていてリィン達に討たれるつもりで戦場に出て来た学院長の件を考えたら、実際に”焦土作戦”の指揮を執っていた父さんは絶対に降伏せず、最後まで抵抗し続けるだろうね……」

「そうなるとクレイグ将軍の副官であるナイトハルト教官もクレイグ将軍や第四機甲師団と共に最後まで抵抗し続けるかもしれないな……」

「”第四”の件もそうだけど、学院長のように軍に復帰したベアトリクス教官も心配ね……ただあの人は敵味方問わず命を救う事で敵味方関係なく犠牲者を減らす事が軍に復帰する最大の理由だと聞いているし、軍に復帰後は後方支援の責任者を任されているらしいから、連合に対して”最後の抵抗”をすると思われる”第四”を含めたエレボニアの残存戦力よりは生存確率は上がるとは思うけど……」

「クレアも降伏はせず、最後まで戦って、戦闘の続行が不可能な状態まで追い詰められたら自殺するかもしれないね……ブレイサーオブブレイサーからの連絡を受けたシェラザード達の話によるとブライト家の襲撃に失敗したレクターも自殺しようとしたらしいし……」

「そ、そんな……このままだと、学院長に続いてまた”トールズの身内”が……」

「―――――いずれにしても、連合とエレボニアによる”最後の戦い”が始まるまでに敗戦後のエレボニアの処遇の件も含めて、可能ならば連合の責任者達――――――リウイ陛下達との話し合いの場を設けるべきかと。」

「問題は”既に戦争に勝利したも同然の状態”の連合が、今更話し合いに応じるかどうかですけど……」

辛そうな表情を浮かべて推測したエリオットの推測に続くようにガイウスとサラ、ミリアムもそれぞれ複雑そうな表情で推測し、エリオット達の推測を聞いたアリサは悲痛そうな表情を浮かべ、アルゼイド子爵は静かな表情で提案し、アルゼイド子爵の提案を聞いたエレインは複雑そうな表情で懸念を口にした。



「いや、リウイ陛下達との話し合いの場はアリシア女王陛下達――――――リベール王国が既に用意してくれたから、エレイン君の心配は無用だよ。」

「昨日の”大戦”の件がありながらも、アリシア女王陛下達――――――リベールがリウイ陛下達との話し合いの場を設けて下さったのですか……!?」

オリヴァルト皇子が口にした驚愕の事実にその場にいる全員が血相を変えている中ラウラは驚きの表情で確認した。

「はい。”西ゼムリア通商会議”という形で、アリシア女王陛下達はリウイ陛下達との話し合いの場を設けて下さり、リベールから”西ゼムリア通商会議”の参加の要請をされたリウイ陛下達――――――連合が参加に応じる返答も既に頂いているとの事です。」

「に、”西ゼムリア通商会議”って半年前にしたばかりなのに、もう新しい国際会議をするんですか……!?」

「うん、あれから西ゼムリアの世界情勢は大きく変わったから、国家間の政治・経済もそうだけど”現在の国際問題”も協議すべきという名目で開催する事にしたそうだよ。」

ラウラの問いかけにセドリックが答え、セドリックの話を聞いて困惑しているマキアスにトワが説明した。

「”現在の国際問題”――――――メンフィル・クロスベル連合とエレボニア帝国の戦争の件か……!」

「しかも去年の時と違って、共和国が滅びた上クロスベルが帝国として独立した事で、”西ゼムリアの世界情勢に大きな変化が起こった”という事も間違いではないな。」

「リベールと盟友関係であるメンフィルは当然として、不戦条約の件もそうだけど新興の国家である事で今後の外交の為にもクロスベルの参加も確実と判断して、”事実上の決戦が終結したこのタイミング”で開催する事を決めたのでしょうね。」

「ああ……敗戦後のエレボニアの処遇を中立国家も交えて話し合う事で連合のエレボニアに対する要求を少しでも緩和する事が狙いなんだろうな。」

「えへへ、リベールは侵略された側なのに、オリビエさん達の為にそこまでしてくれるなんて、さすが女王様とクローゼさんですね……!」

「そうだね……今回の件も含めて多くの恩を受けた私達アルノール皇家は女王陛下達リベール王家には一生、足を向けて寝られないね。」

「はい。それに僕達の不徳によってリベールはエレボニアに侵略されかけたにも関わらず、僕達の為にここまでして下さったのですから、戦後リィンさん達シュバルツァー家の方々もそうですけど、女王陛下達アウスレーゼ家にも今まで受けた恩を返す為にも何らかのお礼をしなければなりませんね。」

トワの説明を聞いたユーシスは驚きの表情で声を上げ、ジンとシェラザード、アガットとティータはそれぞれ明るい表情を浮かべ、ティータの言葉に頷いたオリヴァルト皇子はセドリックと共に苦笑していた。



「ちなみに参加国や出席者の方はどうなっているんですか?もしかして、クロスベルとエレボニアを除けば去年の西ゼムリア通商会議と同じ顔触れなんでしょうかね?」

「いや、レミフェリアは去年同様アルバート大公閣下が出席予定との事だが、開催国であるリベールからはクローディア王太女殿下に加えてアリシア女王陛下、そしてメンフィルからは現メンフィル皇帝―――――シルヴァン・マーシルン皇帝陛下が参加する予定との事だ。」

「ええっ!?リウイ陛下やリフィア殿下ではなく、現メンフィル皇帝のシルヴァン皇帝陛下ご自身がですか!?」

「そういえばシルヴァン皇帝陛下ご自身がゼムリア大陸での公式な場に姿を現す事は滅多にありませんでしたわね……」

「ええ。シルヴァン皇帝陛下がゼムリア大陸での公式な場に初めて姿を現したのは3年前の”不戦条約”で、それ以降ゼムリア大陸での公式な場はリウイ陛下やリフィア殿下に任せてシルヴァン皇帝陛下自らが姿を現す事はなかったはずよ。」

アネラスの質問に答えたアルゼイド子爵の説明を聞いたその場にいる仲間達がそれぞれ驚いている中アリサは信じられない表情で声を上げ、考え込みながら呟いたシャロンの言葉にシェラザードは頷いて答えた。

「シルヴァン皇帝陛下………リウイ陛下の子供の一人で、リフィア殿下にとっては父親、そしてセシリア将軍にとっては夫でもある人物か……」

「い、一体どんな人なんだろう……?」

「あの女を側妃として侍らせているんだから、あの女以上に腹黒い皇帝なんじゃないかしら?」

「そんでもって戦闘民族なんじゃねぇのか?メンフィルの皇族共は揃いも揃って戦闘民族みたいだからな。」

「二人ともシルヴァン皇帝陛下に対して不敬過ぎですよ………」

まだ見ぬ現メンフィル皇帝についてガイウスは考え込み、エリオットは不安そうな表情で呟き、ジト目で呟いたサラとアッシュの推測を聞いたエマは疲れた表情で指摘し

「ちなみにクロスベルからは誰が参加するの?」

「クロスベルはヴァイス――――――ヴァイスハイト皇帝とギュランドロス皇帝の代理としてルイーネ皇妃が参加する予定との事だ。」

「ルイーネさんが……」

「確かそのルイーネって皇妃は外交が専門分野の皇妃だったわよね?ヴァイスハイト皇帝も元々はメルキアとかいう大国の皇帝だったそうだから、メンフィルもそうだけどクロスベルもその国際会議が敗戦後のエレボニアに対する自分達の要求の緩和が狙いである事にも気づいているでしょうから、そんな”本気の面子”を寄越すつもりなんでしょうね。」

「間違いなくそうだろうね………それで、エレボニアの参加者は前回の参加者の一人であるオズボーン宰相は当然論外でしょうし、ユーゲント皇帝陛下は今は療養中の御身、そしてアルフィン皇女殿下はメンフィル帝国の要求に従ってエレボニアから出奔してリィン君の専属使用人として仕えていますから、皇太子殿下とオリヴァルト殿下になるのでしょうか?」

フィーの質問に答えたオリヴァルト皇子の答えを聞いたガイウスは呆け、目を細めて呟いたセリーヌの推測に頷いたアンゼリカは新たな質問をした。



「はい。ただし、エレボニアの場合は皇家の代表者達だけでなく、政府の代表者達も交えて話し合いたいとの事で、”亡命政府”の代表者としてレーグニッツ知事閣下と”亡命政府”の支援者であるミルディーヌ公女も参加してもらう予定との事です。」

「父さんも西ゼムリア通商会議に………」

アンゼリカの疑問に対して答えたセドリックの説明を聞いたマキアスは呆け

「それとアリシア女王陛下の話によれば、できれば”空の女神”であるエイドス様にも参加して欲しかったとの事だが、生憎エイドス様からは既に”参加拒否”の返答との事だから、残念ながらエイドス様の援護は期待しない方がよさそうだよ。」

「ま、そうでしょうね。以前会った時も空の女神は自分を含めた”空の女神”の一族が現代の(まつわりごと)には絶対に関わるつもりはないって断言していたものね。」

「加えて”ハーメル”の償いも行っていない我が国はエイドス様達の協力を得る”資格”はないとの事だからな………」

疲れた表情で答えたオリヴァルト皇子の話を聞いたセリーヌは静かな表情で呟き、ラウラは複雑そうな表情で答えた。

「つーか、あの自称”ただの新妻”の事だから、”ハーメル”の件にしても政治に関わらない件にしてもそれらは”建前”で”本音”は”家族旅行の邪魔をされたくないから”か”面倒”のどっちかなんじゃねぇのか?」

「そうね……何せ”あの”エステルの先祖だものねぇ……ホント、何であんな両親とは全く似ていない突然変異としか思えないハチャメチャな性格になったのかしら……」

「それでエステルちゃんよりもマイペースなエイドスさんの事ですから、戦争が終われば世界情勢とか気にする事なく”家族旅行”を再開するんでしょうねぇ……」

「あ、あはは………確かにエステルお姉ちゃんはマイペースですけど、さすがにエイドスさんと比べるのは間違っているような気もしますけど……」

(ほ、本当に一体どういう人物なのよ、”空の女神”は……)

呆れた表情で呟いたアガットの推測にシェラザードは疲れた表情で同意し、苦笑しながら呟いたアネラスの推測を聞いたティータは冷や汗をかいて苦笑しながらエステルのフォローをし、アガット達の推測を聞いたアリサ達がそれぞれエイドスを思い浮かべて冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エレインは疲れた表情で溜息を吐いた。

「ハハ……―――――それで、西ゼムリア通商会議はいつ開催で、場所はどこになるんだ?」

「開催日は3日後の2月25日で、開催場所はエルベ離宮との事だ。」

苦笑していたジンは気を取り直して訊ね、ジンの質問にミュラーが答えた。



その後アリサ達は3日後に控えている西ゼムリア通商会議に向けての話し合いを始めた――――――



 
 

 
後書き
次回はリィン達側の話になり、少しの間リィン達側の話が続いてその後は西ゼムリア通商会議になります。それと今年の9月以降に発売されるRPG系……有名な大作シリーズが自棄に多い気が(汗)黎の軌跡Ⅱは当然として、うたわれるもの、ドラクエ、ヴァルキリーの新作が同じ9月に発売される上、10月はスターオーシャン、11月はポケモン……全部買ってプレイする予定の私にとってはどれから先にプレイして、次はどれをプレイすべきか悩みまくっています(汗) 
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