おっちょこちょいのかよちゃん
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219 鋼鉄の男、スターリン
前書き
《前回》
ラ・ヴォワザンから即死の毒を喰らったかよ子は死亡したと思われた。しかし、能力無効化の毒が時間切れを起こしていた為、かよ子の武装の能力が復活していたのだった。死を免れたかよ子達は一斉に反撃するが、その時、別の敵が現れる。それは赤軍の丸岡修に異世界でもかなりの強敵とされているスターリンが加勢に来た。二人と対峙する事になるのだったが、実は更にもう一人来ており、かよ子は赤軍の西川純に杖を取られてしまった!!
本部の管制室。先代の杖の所有者は娘が交戦している様子を確認する。
「山田かよ子ちゃんの所にまた別の敵とさらに赤軍が一緒に来ていますわね」
「かよ子・・・」
まき子はまた心配になる。
「それにしても領土攻撃班はまだ誰も彼女達の所までは追い付けていないな」
「ここは粘るか、それとも・・・」
「何かまだあるの?」
「いえ、私達が下手に出向くのは危険過ぎますね」
イマヌエルが通信する。
「こちら本部のイマヌエル。東部を進行している領土攻撃班、杖の所有者の山田かよ子君が戦争主義の敵に赤軍とぶつかった。早急に彼女達の所へ急ぎ、支援を頼む!」
『了解!』
多くの領土攻撃班の返信が来た。そしてフローレンスはまた別の場所へと連絡する。
「こちらフローレンス。長山治君、聞こえますか?」
『はい!』
「藤木茂君を救出しに行っています貴方のお友達が赤軍に異世界の敵とぶつかっていますが、今どういう状況になっていますか確認をお願い致します」
『あ、はい!』
長山が応答し、少しして返答が来た。
『フローレンスさん、今山田達は赤軍に敵の世界の人間と戦っています!今山田が杖を取られた所です!』
「何ですって?!了解しました。貴方の眼鏡で遠隔で攻撃できますようにしてください!そして長山治君と一緒にいます皆様も遠隔で加勢しますのです!」
『あ、はい、分かりました!』
通信が切れた。
「フローレンス、杖が取られたのか!?」
イマヌエルが確認した。
「は、はい。長山治君がその様子を見ましたと・・・」
「フローレンス、君は昨日の杯の一件で疲れているだろ、私が行こう」
イマヌエルが姿を消した。
「緊急行動を再び起こしてしまいましたか・・・」
「フローレンス、かよ子の杖が取られたって!?」
「はい・・・」
「かよ子、大丈夫かしら・・・?」
まき子もまた娘がおっちょこちょいしてしまったのかと不安になった。
長山は神通力の眼鏡を使用する。
「長山君、かよちゃんの杖が取られたの!?」
長山と行動を共にするさりが驚いて聞いた。
「実はそうなんだ!」
「援護に行きたいけど、ここからじゃ遠すぎるわね」
「大丈夫だよ、この眼鏡で遠隔で攻撃できるってフローレンスが言ってたんだ」
長山は神通力の眼鏡の能力を行使する。長山達が立っている場所が空間移動したかのように変わった。杖の所有者が戦っている現場だった。
「あれは・・・!!」
長山は一人の男を覚えていた。自分をさらおうとしていた男だった。そして長山はこの男達の心理を読み取る。
「そうか、目的は杖を奪って戦争主義の世界の本部に持ち帰るつもりだ!それからここにいる人皆殺しにするつもりだよ!!」
「何だって!やるか!」
尾藤は加勢満々だった。
かよ子は赤軍の西川に杖を奪われた。しかし、取り返そうにも今何もできない状態にあった。
「私の杖を、返して!」
「返すか、バーカ!」
「スターリン、こいつらはもう殺していいぜ!」
「分かった」
スターリンはかよ子達を皆殺しにしようとする。幾つものギロチンがかよ子達の首を斬ろうとする。
「終わりだ!」
だが、ギロチンが途中で止まった。
「な、貴様らの能力は丸岡修の術で効かない筈だ!」
「その術を効かなくさせたんだよ」
いつの間にかイマヌエルが現れた。
「貴様・・・、『敵の世界』の奴か!」
「いかにも。スターリンか、久しぶりだな」
「こいつ!西川、今のうちに逃げるぞ!」
「おう!」
その時、西川が急に倒れた。
「てめえ、やりやがったな!」
丸岡が問答する。
「生憎だが、私は何もしていない」
「じゃあ、今の誰が!」
『俺だよ!』
「ど、どこにいやがる!?」
丸岡は見回すも、声の主はいなかった。
『見えない所から援護させて貰うわよ!』
「この声は・・・!!」
その時、西川の手にあった杖が黒い影に弾かれた。
『かよちゃん、取り返したわよ!』
杉山の姉の声だった。
「あ、ありがとう!」
かよ子は急いで杖を取り返した。そしてスターリンに杖を向ける。
「馬鹿め、何度やっても同じだぞ!」
「させるかよ!」
大野が草の石の能力を行使し、巨大な花を出してスターリンを花粉で眠らせようとする。だが、丸岡の矛盾術で弾かれてしまった。ブー太郎も、まる子もそれぞれの石を使う。しかし、それでも丸岡の矛盾術が妨害した。
「あの人の術が厄介・・・!!」
「山田かよ子君、あの男は攻撃をすればできないようにする術だ。あえて攻撃を止めてみたらどうだ?」
イマヌエルが進言した。
「え?う、うん!」
かよ子はまる子が出した炎にもう一度杖を向け、炎を操る能力を得た。そして丸岡を狙う。しかし、かよ子は途中で炎を出すのを止めた。途端に止めた筈の炎が一気に丸岡を襲った。
「な、俺の矛盾術が破られただと!?」
丸岡は矛盾術を途中で止めた。
「今だ!」
次郎長は刀を振るって大地を爆破させる。
「この鋼鉄のスターリン様にそんなものが通じるか!」
スターリンは再び巨大な鋼鉄の壁を出した。
「同じ事を・・・」
イマヌエルがスターリンの行為を無効化させる。しかし、地面の爆発がイマヌエルを襲う。イマヌエルは咄嗟に回避した。
「スターリンの攻撃は全てお前に当たるように認識させた!奴らが攻撃すればお前が危なくなるぞ!」
「何!?」
イマヌエルは自身が窮地に陥る形になってしまった。
「イマヌエルさん・・・!!」
かよ子は火炎放射でスターリンを襲いたいと思ったが、これではイマヌエルに当たってしまうと思い、迂闊に攻撃できなかった。
「こっちが反撃だ!」
スターリンが巨大な鋼鉄の矛を出してかよ子を両断しようとする。
長山達はかよ子達の戦闘状態を確認する。
「まずい、このままだとイマヌエルがやられるだけだ!」
「くう、これじゃあ、俺もボール蹴れねえと!」
さりはまる子の姉に聞く。
「さきこちゃん、宝石で何かできない?」
「ええと・・・」
その時、さきこの琥珀が光り出す。トパーズも光り出した。
かよ子を襲う鋼鉄の矛が急に軌道が逸れた。
「な、何が起きた!?」
「え・・・?」
その時、通信機が鳴る。
『こちらさきらさきこ、私の宝石でかよちゃんに向けた大きい剣は私達の方へ狙いを変えたわよ!それからイマヌエルへの攻撃も私達が受ける。かよちゃん、やってみて!』
「う、うん!」
かよ子は火炎放射を行った。スターリンへの攻撃は丸岡の認識術によってイマヌエルが受ける。しかし、さきこの宝石の能力によってイマヌエルは襲ってこなかった。
「でも、さくらさきこ達は大丈夫なのか?」
石松は気になった。
『大丈夫よ!私達はその場にはいないから攻撃は来ないように設定したわ!』
「な・・・!!」
丸岡は認識術まで破られてしまい、動揺した。
『私達が攻撃させて貰うわ!』
さりの声が聞こえる。鋼鉄の矛が砕かれる。そして周りにあった木々が動き出し、スターリンを襲う。
「な・・・!!」
スターリンは鉄の壁を作り出した。しかし、大政の槍や次郎長達の刀、更には勝手に動いた木々が壁を大きく揺さぶり、更にはかよ子が杖で出した火炎放射によって壁が溶かされてしまう。
「終わりだよ・・・!」
鉄の壁が完全に溶かされた時、かよ子は更に炎の渦を出してスターリンの周りを取り囲んだ。
「お、終わって、たまるか・・・!!」
その時、ビー、ビー、とブザーのような音が聞こえた。
「え・・・、何!?」
かよ子は慌てて炎を消してしまった。
「ああ、エカチェリーナ・・・!!今、そっちに行くぞ!!」
ゆりはエカチェリーナに留めを刺そうとしていた。
「ああ、愛しき貴方・・・!!」
「は・・・!?」
ゆりは構わず爪でエカチェリーナを刺そうとする。しかし、急に弾かれた。
「ああっ!」
「貴方・・・!!」
[愛しきエカチェリーナよ・・・。今、助ける。そっちに行くぞ]
別の声が聞こえた。そしてエカチェリーナが光に包まれる。
「あの女が消える!?」
「逃げる気か!」
鯉沢が発砲した。しかし、効かずにエカチェリーナの姿が消えた。
「一体・・・、何だったの・・・?」
ブザーが鳴った途端、スターリンの姿が消えて行く。
「私は愛しき妻の元へ行く。貴様らも劣勢にある。撤退せよ!」
「は、はい!」
スターリンが急に瞬間移動したように姿を消した。丸岡も西川を連れて姿を消す。ラ・ヴォワザンも姿を消した。
「ど、どこに行くの!?」
かよ子は追いかけようとするが、取り逃がしてしまった。
「どうやらあの男は愛しき妻の所へ行ったみたいだね。護符の所有者達、支援ありがとう。私も本部へ戻るよ」
イマヌエルが消えて行った。
『了解。私達も自分の仕事に戻るわ』
さり達の声も消えた。
「あのスターリンって人、とても強かった・・・」
かよ子はスターリンについてかなりの強敵と感じていたのだった。だが、それでも羽根を出して次へ進む。
後書き
次回は・・・
「愛しき妻、エカチェリーナ」
スターリン達を相手に苦戦していたかよ子達はスターリンの急な撤退でその場を何とか乗り切り、次へと進む。スターリンは妻というエカチェリーナの元に会いに行った。かよ子達を襲ったスターリンとゆり達と交戦していたエカチェリーナ、二人はどのような関係なのか・・・!?
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