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夢幻水滸伝

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第二百四十六話 三省併合その六

「そしてそうした輩に世界が救えるか」
「そんな筈がないわ」
 施は軽蔑する目で吐き捨てる様に言い切った。
「絶対にな」
「左様ですね」
「そんな奴は自分より弱い奴、立場が低い奴にするんや」
「自分より上だと決してしないですね」
「反撃されんからな」
 そう思っているからだというのだ。
「暴力を振るうんや」
「まさにその通りです」
 蒲もその通りだと答える。
「そうした性根の輩はどれだけ力があろうとも」
「自分より強い奴に向かわんでな」
「危機に際してもです」
「偉そうなこと言って自分は逃げるわ」
「世界を救うなぞ」
「出来る筈がないわ」
「若し施さんがそうした人ならです」
 蒲は彼をサイクロプスの単眼で見つつ話した。
「幾ら美辞麗句を言っても」
「モンスターの目は騙せんか」
「左様です」
「しかしこの連中はやな」
「施さんの強さに畏怖し」
 そうしてというのだ。
「そのお人柄をです」
「見抜いてか」
「慕っています、それを見てです」
「自分もわかったか」
「はい、是非です」
 今度は微笑んで話した。
「共に戦わせて下さい」
「ほなな」
「この世界を救いましょう」
 蒲もまた右手を平にして左手を拳にして打ち合わせて礼をしたこうして彼も施の仲間になったのだった。
 施は三人を仲間にすると一旦南京に戻った、そこで市長に本拠地を上海に移すことを話してそのうえでだった。
 市長にだ、こう話した。
「自分はこのままな」
「この街の市長ですか」
「宜しく頼むで」
「わかりました、それで故宮は」
「それな、もう自分は家は上海に移すしな」
「ですがこちらにも来られますね」 
 市長は施にこのことを確認した。
「そうされますね」
「そうなるやろな、やっぱり」
「では別邸としてです」 
 それでというのだ。
「そのままです」
「置いておけばっていうんやな」
「どうでしょうか」
「別邸な、考えたことなかったわ」
 施は市長の言葉に腕を組んで述べた。
「もう観光地にしよと思ってたが」
「そうでしたか」
「しかし江蘇省を治めるにあたってな」
「時々でもこちらに戻られますね」
「そうなるやろな」
「ではです、使われているお部屋はそのままで」 
 そうしてというのだ。
「他の場所を観光地にされては」
「それでか」
「やっていかれては」
「そやな、庭とかもな」
「観光地にされますね」
「ええ場所やしな」
 その故宮はというのだ、庭も含めて。
「そうするわ、ただ自分の場所はな」
「はい、故宮の中の」
「プライベートは大事にしたい」
 絶対にというのだ。 
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