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夢幻水滸伝

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第二百四十二話 南京に出てその十二

「そやけどな」
「無駄な血は好まなかったですか」
「皇帝になるまではな」
 施はこのことは真顔で述べた。
「そやった」
「そちらの世界ではですか」
「ああ、そやった」 
 このことを残念そうに述べるのだった。
「あの人はな」
「あの、お聞きしていいでしょうか」
 白澤は施の今の言葉に眉を曇らせて問うた。
「赤龍帝について」
「自分の起きた世界のやな」
「こちらの世界では魅力の神で愛されていますが」
「起きた世界では皇帝になるまでは無駄な血を好まんで鷹揚で器が大きかったんや」
「まさにこちらの世界の赤龍帝ですね」
「そやったが」
 それがというのだ。
「皇帝になってからは猜疑心の塊になってや」
「人を信じるのが長所の神ですが」
「それが正反対にな」
 そうなってというのだ。
「それでや」
「猜疑心の塊になり」
「建国の功臣を粛清してや」 
 韓信、黥布、彭越達だ。三人共その武と勢力の大きさを警戒されて各個に粛清されていったのである。
「三族皆殺しにしたんや」
「親子兄弟までも」
「そうしたんや」
「それはまた」
「粛清されんでも猜疑の目を向けてな」
 特に宰相であり建国第一の功臣であった蕭何に対してだ、その為蕭何は猜疑の目を逃れる為に非常に苦労した。
「別人になった」
「そうだったのですね」
「そやから皇帝になるまでのな」
「赤龍帝の様にですか」
「進めてくのがな」
「いいですか」
「昨日の敵は今日の友でもある」 
 施はこうも言った。
「そやからな」
「そうしていきますか」
「そや、どんどんな」 
 またこう言った。
「そうしてくで」
「わかりました、それでは」
「そういうことでな、ほな南京に戻ってな」
「政にあたりますね」
「そうするで、まずはこの江蘇省をな」
 自分達が今いるこの省をというのだ。
「統一するで」
「それが第一ですね」
「江蘇省は長江に面していてな」
 この大河にというのだ。
「支流も多くて水に恵まれてて農業が発達している」
「それが大きいですね」
「そして水運もあってや」
 長江と支流のそれである。
「商業も盛んで工業もな」
「いいです」
「人口も多い、そやからな」
「掌握すればですね」
「それだけでかなりの勢力になる」
「そこから覇権を握れますね」
「中国のな、その基盤になるからな」
 そうした省だからだというのだ。
「まずはや」
「江蘇省の統一ですね」
「それをするで」
「わかりました、ほなそうしていきましょう」
「是非な、全てはそこからや」
「江蘇省の統一ですか」
「そや、あと今は陸の軍が殆どやが」
 軍の話もした。 
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