| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百四十二話 南京に出てその三

「出来ればそうしたことは止めて下さい」
「この市庁舎にも多くの人がいます」
「そしてこの南京の街にも」
「どうか人の命をお考え下さい」
「私達からもお願いします」
「何とぞ」
「いや、自分は星のモンや」 
 施はその兵達を抑える様に微笑んで答えた。
「そんなことはせんわ」
「そうですか」
「では無体はされないですか」
「この世界を救う為に働いて下さいますか」
「星の方として」
「当然や、それでここに来たんはな」
 その理由を話した。
「市長さんに会いたくてな」
「それで来られたのですか」
「そうなのですね」
「そや、この世界を救う第一歩としてどうすべきか」
 それをというのだ。
「今自分が乗ってる白澤と市長さんとで話したくてな」
「それで、ですか」
「こちらに来られたのですか」
「そや、それで市長さんに会わせてくれるか」
「わかりました、それでは」
「そうさせて頂きます」
 兵達は施に安堵した顔で応えた、そうしてだった。
 すぐにだ、兵達はこうも言った。
「いや、よかったです」
「何をされに来られたのかと不安になりました」
「星の方には誰も勝てません」
「まさに神霊に等しいお力なのですから」
 こう口々に言うのだった。
「そうした方々が何かをされると」
「それが無体ならどうにもなりません」
「巨人より遥かに恐ろしい災厄です」
「そうなりますので」
「星のモンはこの世界を救うのが仕事や」
 施はここでも微笑んで話した。
「そやからそんなことは絶対にせん」
「何でもロシアの方々は苛烈だとか」
「敵に一切容赦はしないと聞いています」
「跡形もなく消し飛ばすとか」
「そう聞いていますので」
「あの連中も敵にはそうするが自分の民にはせんわ」
 施はこのことを保証した。
「そやから自分等も安心せい」
「そうですか」
「敵でないなら大丈夫ですか」
「では我々もですね」
「何もされないですね」
「そや、怖がり過ぎや」
 兵達に笑って話した。
「取って食うことはせんからな」
「ですね、いや怖がり過ぎました」
「星の方は味方には寛容ですね」
「誰彼なくそうする訳ではないですね」
「左様ですね」
「そういうことや、ほな市長さんに話を通してくれるな」
 兵達にこう言うと彼等は喜んでと応えた、そうしてだった。
 施はすぐに市長のところまで案内された、市長は四十代位の魔人の男であった。着ている服は清の高官の服だった。
 その彼がだ、施に挨拶をしてから自分から言ってきた。
「お話は伺っています」
「自分が星のモンやてやな」
「それもかなり位が高いと見受けます」
 市長は施に席を案内した、そして彼を座らせて自分は立たせたが施は彼を座らせて向かい合って座ってこう言った。
「神星の方でしょうか」
「そや、六将星の一人や」
「やはりそうですか」
「それでこの世界に来たのはええがな」
「ご主人は最初にどうされるべきか考えておられます」
 施の横に控える白澤も言ってきた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧