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夢幻水滸伝

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第二百四十話 退治し迎え入れその十三

「中国人ですので、私も」
「そう言うか」
「左様です」
「確かに唐代の詩でもよく詠われているでし」
 郁はその頃の漢詩から述べた。
「李白にしてもでし」
「白楽天もやな」
「長恨歌でしね」
「そやな」
「確かにロマンスでし」
 このことは事実だというのだ。
「しかしどう言ってもでし」
「不道徳の極みか」
「それも悲しい結末でし」
「楊貴妃は死ぬさかいな」
「そうでし、まあ不道徳の結末でしね」
 郁は因果応報としても述べた。
「そうでしね」
「それで尚更やな」
「悲しいロマンスの主人公になりたいでしか」
「やっぱりハッピーエンドや」
 呉は言うまでもないと返した。
「ロマンスの結末は」
「そうでしね」
「紅楼夢も嫌や」 
 こちらのロマンスの結末もというのだ。
「あれも悲しいさかいな」
「そうでしね」
「日本の源氏物語にしてもな」
「あれも不道徳でし」
「あっちは義母でな」
「幼い子供にも声をかけてるでし」
 須磨でのことだ、そこから妻に迎えている。
「玄宗以上にやばいかもでし」
「子供までもうけてるしな」
「しかもそのお子さんが帝になってるでし」
「それ実際やったら洒落ならんな」
 呉は熊の掌を食べつつ述べた。
「流石に」
「はい、ロマンスは僕ちんもハッピーエンドでし」
 こちらがいいというのだ。
「ほんまにでし」
「そう思うと楊貴妃はな」
「あかんでしよ」
「そうなるな」
「とはいってもハッピーエンドのロマンスもあるでしが」
 郁はそのストーリーの話もした。
「悲しい結末の作品も多いでし」
「悲劇もな」
「京劇でもそうでし」
「そやな」
「そう思うとでし」
「悲劇もロマンスの一つか」
「そうでしね」
 こう呉に話した、話をしながらも飲んで食べている。勿論主役である熊の掌も三人で美味しく食べている。
「中国でも多いでし」
「世界中でもな」
「歌劇でも宝塚でもでし」
「宝塚なんかめっちゃ多いな」
「宝塚は目立ちますね」 
 巴も頷きつつ言った。
「実際に」
「そやな」
「あの絢爛さもです」
「その悲劇を際立たせてるか」
「結末の死が異常に時間がかかりますが」
 主人公がヒロインの手の中で死ぬそれがだ。
「しかしその最後の語りもです」
「宝塚の魅力か」
「全く日本は恐ろしいものを生み出しました」
「小林一三さんの遺産やな」 
 関西鉄道界にその名を残す経営者でもある、彼があったからこそ宝塚も阪急ブレーブスも生まれたのである。 
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