夢幻水滸伝
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第二百四十話 退治し迎え入れその十二
「楊貴妃はどうもでし」
「あかんか」
「玄宗とのお話でしね」
「あのロマンスな」
「元息子の嫁でし」
このあまりにも有名なことをと言うのだった。
「不倫も不倫で」
「近親の要素もあるか」
「元々義娘でしよ」
肝を煮たものも食べつつ話した。
「そうした人とでしか」
「それは論外やな」
呉は一気に醒めて述べた。
「人としてな」
「もう腐れ外道でし」
「玄宗はそうでもあったんやな」
「正直褒められる要素はないです」
巴はライチ酒を飲みつつ話した。
「それも全く」
「ロマンティックな様でな」
「楊貴妃の姉妹も傍に寄せましたし」
「尚更やな」
「後宮に入れるにも決まりがありました」
基本的にそうだったというのだ。
「相手の人が生きているなら」
「絶対にあかんな」
「亡くなっているなら別ですが」
「そうやないとな」
「あの煬帝ですらです」
好色なことで知られるこの暴君もというのだ。
「彼は父親の愛妃を求めましたが」
「父親が亡くなってからやったな」
「そうでした」
隋の文帝である、このことを生前にその妃から聞いて激怒して当時皇太子だった煬帝をその座から廃そうとして逆に殺されたという説もある。
「無道と言われましても」
「それはせんかったな」
「しかし玄宗はそうしました」
「それだけでもあかんな」
「しかもこれは俗説ですが」
巴はこう前置きして話を続けた。
「楊貴妃に溺れてです」
「政を省みなくなってな」
「国を乱しました」
「安史の乱を起こしたな」
「実際は玄宗は政は忘れていませんでした」
行うことは行っていたのだ。
「そのうえでの失政でした」
「失政は失政やな」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「国政は実は忘れていませんでした」
「それはそやな」
「それでもそうした話が出る程です」
「楊貴妃に溺れてたな」
「そして後世でも批判されています」
そのうえで何処か愛されてもいる、玄宗という人物はそうした意味で幸せな人物なのかも知れない。
「不道徳であると」
「それでそうしたロマンスはな」
「よくないかと」
そう言うしかないというのだ。
「やはり」
「そうなるか」
「確かに桂花陳酒は楊貴妃も愛しました」
このことは事実だがというのだ。
「ですがロマンスはです」
「楊貴妃とはですか」
「ご自身を玄宗だと思われるなら」
それならばというのだ。
「駄目です」
「はっきり言うな」
「日本人ならどうかと言いますが」
それで収めるがというのだ。
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