オズのホボ王子
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第六幕その十
「そうしてね」
「作っているんだね」
「今もね」
「成程ね」
「ただデザートは」
そちらはといいますと。
「どうもね」
「苦手なんだ」
「これがね」
そうだというのです。
「私は」
「上手に出来ないんだ」
「思っていた味じゃないんだ」
作ってみてもというのです。
「苦労しているよ」
「それでも作ってるんですね」
ジョージが尋ねました。
「そうなんですね」
「うん、毎日ね。ただ今のタルトはね」
「買ったものですか」
「勉強の為に。買ったものを食べて」
そうしてというのです。
「そしてね」
「そのうえでなんですね」
「その味を再現しようとね」
「努力されていますか」
「いや、努力はしていないよ」
ミュージッカーはこのことは否定しました。
「楽しんでいるよ」
「お料理をすることを」
「そうなんだ」
こうジョージに言うのでした。
「私はね」
「勉強して作っていても」
「音楽と一緒でね」
それをする時と、というのです。
「私はなんだ」
「楽しんでいるんですか」
「そう、勉強して作ってね」
そうしてというのです。
「楽しんで」
「そうしていてですか」
「努力はね」
「されていないですか」
「私はね」
「そうなんですね」
「努力はね」
また言うミュージッカーでした。
「私はしないよ」
「そうですか、ですが」
「努力を努力と思わない」
「本当に好きなものについてはそうですね」
「ご本人が努力と思っていないだけで」
「その実は」
「そうなるかな、まあ私は努力はしないで」
ミュージッカーはまた言いました。
「やっぱりね」
「楽しんでいますか」
「ただそれだけですか」
「勉強して作って」
「そうしてですか」
「楽しまれていますか」
「そうなんだ、だからこれからも」
まさにというのです。
「そうしていくよ」
「そうですか」
「じゃあデザートもですね」
「楽しんで作っていく」
「そうしていかれますか」
「これからも」
「私はね、音楽と一緒にね」
こう言ってでした。
ミュージッカーは皆と一緒に食事を楽しみ増した、それが終わってから一行はミュージッカーとも一時のお別れをしてです。
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