夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百三十九話 真の主力での攻撃その十二
「政を放り出したのですから」
「幾ら能力があってもな」
「はい、そうした時点で」
「もう皇帝の資格なしやったな」
「政を行う者として」
「まさにそやな」
「そうした意味で明の万歴帝と同じです」
いい皇帝があまりいなかったという明でも屈指の暗君と言われる彼と、というのだ。
「彼も政を放棄しました」
「それでずっと何もせんかった」
呉も万歴帝について述べた。
「それで国はどうにもならんまでに傾いた」
「その万暦帝とです」
「煬帝は同じやな」
「そして司馬氏ともです」
「同じやな」
「よく蜀漢の劉禅が暗君と言われます」
三国志では特にそうだ、まるで中国の歴史上最悪のそれだと言われている。
「しかしです」
「劉禅はこれはっていう家臣に任せてな」
「自分は印を押していました」
「それだけやったな」
「廷臣達に任せていて」
そうしてというのだ。
「自身は印を押すだけでしたが」
「その印を押すだけでもな」
「よかったです」
政を考えるとだ。
「それで国は動きますので」
「劉禅は今挙げた連中より遥かにましやな」
「そうです、例え凡愚であろうとも」
例え劉禅がそうであってもというのだ。
「国主である皇帝が臣に政を任せて印を押すなら」
「政は動くさかいな」
「全く違います、それに三国で一番国力の劣る蜀を四十年保たてさせたのですから」
それならというのだ。
「劉禅は決して暗君ではなかったかと」
「そやな」
「どう悪く見ても司馬氏や煬帝や万歴帝よりです」
「ましや」
呉も言い切った。
「ほんまにな」
「邪悪な気質もなかったですし」
「白糸と言われていたでしな」
郁は劉禅についてこの言葉を出した。
「史実では」
「左様でしたね」
「陳寿の言葉でしたし」
「いい家臣にも任せて」
「悪い家臣にも任せるでしな」
「そうした意味でしたが」
「実は悪臣には然程任せてないでし」
「確かに宦官の黄酷はいましたが」
演義では劉禅に取り入り国を滅ぼした悪宦官となっている、尚史実では処刑されていないが演義ではそう処されている。
「彼も実はです」
「国を亡ぼすまで至ってないでしね」
「そもそも国力が一番低かったです」
蜀が三国の中で一番そうであったことを指摘した。
「魏の十分の一程で」
「それではでしね」
「三国共戦続きでそれぞれ疲弊していて」
巴は蜀だけではないことも話した。
「戸籍を満足に行うこともです」
「元々三国時代から隋の統一までそやったな」
呉は戸籍の話になるとこのことを話した。
ページ上へ戻る