夢幻水滸伝

「もう降ってもらいたい」
「そう言われますか」
「降ったら自分は私達の将軍の一人として迎えたい」
「将軍ですか」
「それも大将や」
　階級のことも話した。
「そうしたいんやが」
「そうですか、私のことよりもです」
　女オークは鞭を持っている、幾つかの節がある鉄の棒である。中国ではこうした武器もまた鞭と呼ばれるのだ。
「それよりもです」
「兵や民のことやな」
「彼等が安全で幸せに暮らせないならです」
「それはこれまでの私達を見てわかるやろ」
　呉は女オークに毅然として答えた。
「それが返事や」
「貴方達は善政を敷かれています」
「そやろ、そして敵兵もな」
「無闇な殺生を避けて」
「戦が終われば自軍に迎えてるな」
「はい」
　その通りだとだ、女オークは答えた。
「左様です」
「それを見てもわかるな」
「貴方達は民も兵も大事にされます」
「そや、それでや」
「私の兵達もですね」
「手出しはせんでな」
　そうしてというのだ。
「この戦が終わればな」
「ご自身の軍に迎えられますか」
「そうする、そして自分は将軍や」
「そうして下さいますか」
「そうするし勝敗も決したからな」
　それ故にというのだ。
「もうや」
「降ることですね」
「そうするんや、ええか」
「そこまで言われるなら」
　女オークは頷いた、そして手にしていた鞭を呉に差し出した。
　呉はその鞭を受け取った、こうして女オークは勢力ごと呉達に降りここに三省は統一された。
　だが戦が終わってだった、郁はどうかという顔で呉に問うた。
「僕ちん達を見ているならでし」
「すぐに信頼してやな」
「こっちに入って欲しかったでし」
「そやな、どうもあの女オークはな」
　大将に任じた彼女はというのだ。
「拳を交えてわかる」
「そうしたタイプの人でしか」
「元々職業は闘士やしな」
「そうでしか」
「そやからな」
「最後まで戦ったでしね」
「そうしたんや、しかし善政を敷いてて心根もええし」　
　そうした者だからだというのだ。
「これからはな」
「僕ちん達の勢力の将軍としてでしね」
「働いてもらう」
「そうなるでしね」
「ああ、これからはな」
「我々は優れた人材を手に入れました」
　巴は笑顔で話した、事実彼女は後の話であるが以後三省軍の中で活躍しそれは中国が統一される中でもその後でもであり十星連合の中でも勇将として知られる様になった。
「まことにええことです」
「ほんまにな」
「三省も統一されましたし」
　巴はこのことも話した。
「まことにです」
「よかったな」
「浮島の方も掌握しています、ですが」　
　ここで巴は曇った顔で述べた。
「三省の浮島はモンスターが結構多いので」
「退治していかなあかんな」
「浮島も多くの民がいてです」
　そうしてというのだ。