夢幻水滸伝
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第二百三十八話 済南へその十三
「そうした恐ろしい病気です」
「そんな病気蔓延させてたまるか」
「淋病でも怖いでしよ」
郁はどうかという目でこの性病の話もした。
「何でも用を足したらでし」
「激痛走るらしいな」
「膿が出て」
「あれは命に関わらんけどな」
そこが梅毒と違う、ただし日露戦争の映画で明治帝を演じた俳優は重症化して睾丸の部分を除去している。
「けどな、痛いっていうしな」
「決していいものではないでし」
「梅毒でなくてもな」
「さっきお話したエイズもあるでし」
「そして淋病もな」
「他の性病もあるでし」
「そうしたことまで考えるとな」
梅毒以外の性病のこともというのだ、性病と一口に言っても様々な種類のものが存在しているのだ。
「やっぱりな」
「感染を防ぐことが第一でし」
「性病科の軍医も用意してるが」
それでもというのだ。
「やっぱりな」
「それでもでしね」
「感染せんことがな」
「第一でし」
「そういうことでやってくからや」
「ゴムも用意するでし」
「そうしてこな」
こう言うのだった。
「そっちも」
「これは当然のことでしね」
「世の中生きてたら下世話なことも見てや」
そうしてとだ、呉は難しい顔で述べた。
「そしてや」
「対策を講じていくことです」
「そうせなあかんな」
「特に政では」
巴はこちらのことになると、と言うのだった。
「そうなります」
「そやな」
「はい、そやからです」
それでというのだ。
「こうしてです」
「対策も講じてな」
「実行に移しています」
「ゴムの着用を義務付ける」
「後始末の方法まで」
実際に将兵達に教えている。
「そうしています」
「使った後は捨てる」
「あれは二度使えません」
これは衛生面でのことを思に考えてだ。
「というか使ってはです」
「元も子もないな」
「注射器もです」
こちらもというのだ。
「同じです」
「あれは一度使ったらな」
「徹底的に消毒します」
「そうするな」
「そしてゴムはです」
こちらはというのだ。
「二度使わない」
「そうせなあかん」
「そのことも将兵達に教えて」
「やっていこうな」
「感染症に強い軍はです」
それはというのだ。
「それだけで違います」
「そやな、強さの一つや」
「無論結核やコレラ、赤痢にも気をつけていますが」
「性病にもな」
「気をつけて」
そうしてというのだ。
「ことを進めていきましょう」
「ほなな」
呉は巴の言葉に頷いた。
「そうして戦力を万全にしていこな」
「そうしてです」
「敵と戦い」
「勝ちましょう」
「そうしていこな」
頷くだけでなく言葉でも応えた。
「これからも」
「この戦が終わっても」
「それは維持していこうな」
「必ずです」
巴も言った、そうしたことを話して戦に赴くのだった。
第二百三十八話 完
2021・12・15
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