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夢幻水滸伝

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第二百三十八話 済南へその五

 巴は軍師としてその策を出し呉は棟梁として頷きそれでよしとし郁は二人の補佐役として戦の用意を二人を助けて進めていった。
 そして使者は三人のいる洛陽に戻ると苦い顔で答えた。
「若し降らせたいのなら勝ってみせよと」
「言うてきたか」
「はい」
 その通りだというのだ。
「その様に」
「そうか、わかったわ」
「それならですか」
「戦や、攻めるで」
「戦の用意は順調に進んでいてでし」
 郁が言って来た、彼は棟梁の座にいる呉の左に座し右には巴がいる。
「九割でし」
「あと一割やな」
「そうでし」
「ほなその一割を進めてや」
「それが終わればでしね」
「それと同時にや」
 まさにその時にというのだ。
「一気ににな」
「攻めるでしね」
「そうするで」
「大軍を迅速に動かして集結させて」
「敵が集結する前にな」
「攻めていくでしね」
「当然私達も攻める」
 軍を指揮してというのだ。
「ええな」
「そうするでしね」
「そや、そうすればな」
「尚更有利に戦えるでしね」
「星の者一人で十万の兵に匹敵します」
 巴は星の者の戦力をこう評した。
「その十万の戦力が三人です」
「大きいでしね」
「そうです、大軍と迅速な動きにです」
「僕ちん達三人となればでしね」
「確実にです」
「勝てるでしね」
「後は油断しなければ」
 それならばというのだ。
「いいのです」
「油断だけはでしね」
「絶対にです」 
 それはというのだ。
「あってはなりません」
「そうでしね」
「油断をすれば」
 その時はというのだ。
「どういった状況でもです」
「負けるな」
「油断して相手を馬鹿にする者なぞです」
「負けるわ」
「どういった相手でも」
「中国の歴史でも枚挙に暇がないわ」
「前秦といい」 
 五胡十六国時代にあった国だ、中国の北部を完全に掌握しその後で南の晋を圧倒的な戦力で攻めたがその油断故に敗北した。
「隋といいな」
「煬帝も然りでしたね」
「そうなった、そやからやな」
「はい、決してです」
「油断は出来んな」
「獅子は鼠を捕まえるにも全力を尽くすといいますし」
「考えたらさもないと逃げられるわ」
 呉は巴が今出したその諺についても言及した。
「簡単にな」
「左様ですね」
「ああ、鼠は小さくてすばしこいからな」
「そうなりますので」
 だからだとだ、巴は話した。 
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