夢幻水滸伝
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第二百三十八話 済南へその六
「獅子もです」
「決して手を抜かんな」
「どういった相手でも長所があり」
「自分が強いからってその長所を見落とすとな」
「負けます」
「そうなるな」
「そやからです」
巴は強い声で話した。
「事前に空船も使ってです」
「相手を調べたな」
「多くの密偵も送り込んでいたでし」
郁はこちらのことを話した。
「商人や旅人に化けさせて」
「敵の中を隅から隅までな」
「そうしてきたでし」
「既によおわかった、ほなな」
「これからでしね」
「戦の用意の最後の段階を整えるで」
残り一割のそれをというのだ。
「ええな」
「わかったでし」
「それで船と列車はな」
今回軍の移動それに物資の輸送に使う二つはというと。
「昼だけやなくな」
「夜もでしね」
「動かすで、船員や車掌は交代でや」
「働いてもらうでしね」
「昼夜でな、夜は速度を緩めても」
これは安全を考慮してのことだ、事故が起こっては犠牲や損害が出るうえに以後の移動や輸送にも支障が出るからである。
「それでもな」
「動かしていくでしね」
「そうするで」
「そうしてでしね」
「迅速にや」
「兵を進めていくでしね」
「普通の進軍やと動けるのは昼だけや」
即ち日が出ている時だけだというのだ。
「夜は休む」
「さもないと疲れるでし」
「しかしや」
「船や列車の中ならでし」
「常に休めるからな」
そうしたものの中でというのだ。
「しかも動くんやなくて運ばれる」
「そやからでし」
「夜も進める」
即ち寝ている間にもというのだ。
「それも船も列車も歩いてよりずっと速い」
「長所が多いでし」
「そやからな」
「一気に移動と輸送を行うでしね」
「そうして攻めるで」
こう郁に話した。
「ええな」
「わかったでし、ではでしね」
「後の一割を進めるで」
戦の用意をというのだ、こう話して実際にだった。
三人は戦の用意をさらに進めた、そしてだった。
多くの兵や物資を船それに列車に乗せてだった。
動かした、そのうえでだった。
「ほな私達もな」
「軍を率いてです」
巴は呉の言葉に応えた。
「戦いましょう」
「前線に移動してな」
「河南省からは四十万の兵で攻めますが」
「主力でな」
「これは実はです」
「陽動でな」
「山東省、青島に十万の兵を集め」
そちらにもというのだ。
「こちらからも済南を攻めますが」
「こっちがほんまの主戦力や」
「そうです、その十万の兵をです」
「私達が率いてな」
「一気に済南を攻めます」
そうするというのだ。
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