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SAO<風を操る剣士>

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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第三章 成長
  第23話 アルゴのクエスト説明

 
前書き
最近、シリカ目線で書くことが多くなったような……

※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。 

 



 あたしとシュウさんは、アルゴさんとの待ち合わせの店に先に着いて待っていた。
 そして、アルゴさんが来るまで話していた内容は、あたしを悩ませるのには十分(じゅうぶん)なものだった。
「シリカは『妹』だけど、俺の中では『兄妹』ではないぞ」
 よく意味が分からなかった。
 でももっと悩まされるのは、シュウさん言った次の言葉。
「いや、あまり深く考えないで、そのまま意味だよ。シリカは『俺の妹』と感じているけど、『兄妹』には感じられないんだよ。まぁ『妹のような存在』……は、ちょっと違うな。…その、なんて言うか……ごめん、上手く言葉に出来ない…」
「…………」
 シュウさんはあたしに対する気持ちを、どんな意味で言ったのだろう…
 もし…もし、その意味があたしと同じだったら…

 あたしはシュウさんのことが好きだ。これは間違いない。
 でもシュウさんは、あたしの中ではもう『あたしのお兄ちゃん』でもある。
 『兄のような存在』じゃなく、あたしの事を守ったりしてくれる、優しい『お兄ちゃん』なんだ。
 それでも『兄妹』には、あたしも感じられない。
 だって、あたしとシュウさんは行動も何もかもが違う。当たり前だけど。
 シュウさんが好き、でも『お兄ちゃん』……これじゃブラコンに聞こえるかもしれないけど、『兄妹』だと感じないんだから、あたしはシュウさんを『一人の異性』として好きなんだ。
 この感じは上手く言葉に出来ない。

 もし、シュウさんもこの気持ちと同じだとしたら……あたしは勇気を出してもいいんだろうか?



=====================



「……リカ……シ…カ……シリカ!」
「は、はい!」
 シュウさんの少し大きな声に、意識が現実に戻されたような感じになる。
 ビックリした~。
「ど、どうしたんですか? シュウさん」
「どうしたじゃないぞ、シリカ。アルゴが話しかけても返事をしないから心配したんだよ…」
「そうだゾ~……シーちゃん、どうしたんダ?」
「へ!? アルゴさん!? 来てたんですか!?」
 声のする方へ視線を向けると、いつの間にかアルゴさんがいた。
 …いつ来たんだろう?
「気付いてすらいなかったカ~」
「す、すいません! ちょっと考え事をしてて……それで、どうしたんですか?」
 あたしは謝ってから、さっき考えていた事を誤魔化すように早速、話を聞くことにした。
 鈍感なシュウさんが『何考えてたんだ? 悩みなら相談に乗るぞ』とか言い出すかもしれないからだ。

 あたしが聞くと、アルゴさんは真面目な顔になり、
「シリカ、あのメッセージについては…本当カ?」
 と、聞いてきた。
 多分、『身体的能力を上げたいというのは本当カ』と言っているんだと思う。
「はい! このままじゃ、シュウさんの足を引っ張るだけなんです。だから、もし上げられるような事があるなら、なんでも言ってください! 頑張りますから!!」
「…………あるにはあるんだけド……そのクエストは、ホントに厳しいヨ?」
 アルゴさんが言いにくそうに、あたしにそういうクエストがある事を教えてくれた。

「内容だけでも教えてくれないかな、アルゴ」
「……しょうがないナ~。シュウ助達は、オイラ一番のお得意さんだしネ」
「ありがとう」
 シュウさんの頼みで、アルゴさんが言い出したクエストは確かに厳しそうだった。

「このSAOを作った茅場晶彦も、こうなるプレイヤーがいる事を予想したのか、その為のクエストを作ってあったんダ。それが、《ダンジョンによる長期クエスト》」
「「ダンジョン?」」
 迷宮じゃなくて、ダンジョン?
「そう、ダンジョン。よくゲームとかであっただロ。地下にだんだん進んで行ってボスを倒すゲーム」
「いや、あったけど……ここはSAOだぞ?」
「オイラだって、この情報を手に入れた時にオカシイと思ったサ。でも本当なんダヨ!」
「……それがどうして身体能力を上げるのにつながるんだよ…」
 シュウさんが言った疑問に、あたしもそう思った。
 ダンジョンと言ってもSAOなんだから、今と変わらないんじゃ…

「二人とも、このダンジョンをSAOの中だと考えない方が良いヨ」
 その後アルゴさんが言った内容を簡単に説明すると、こういう事らしい。

 そのダンジョンは、第二十二層から第二十四層までの三層にわたって突き出てる高い山にあり、入り口は二十四層の頂上で、出口は二十二層の山の前にある湖の前らしイ。
 ダンジョンには無数のトラップがあって、そこで何ヶ月か過ごス。
 当然ダンジョンにはモンスターもいるゾ。
 あと、このクエストの一番大変な所ハ……そこが迷宮と同じ扱いであるコト。
 何ヶ月もの間、寝る時も休む時もモンスターに襲われる可能性がアル。
 でも、その危険なトラップなどで無理やり反射神経などを上げることが出来るらしいヨ。
 ちなみに、このダンジョンがSAOらしくないのは、SAOのシステムの限界を感じている人のために作っタ、茅場の『やれるものならやってみろ』的な挑戦状だとオイラは思うヨ。

「……と、いう事だけド…」
「……レベルや報酬、それにこの先の情報などはどうすればいいんだ?」
 アルゴさんの話を聞いてからシュウさんは少し黙り、その後により詳しい内容を聞いた。
「レベルは順調に稼いで行けば、出てくる頃にも今と変わらない位の高さだと思ウ。情報はオイラが徹底的(てっていてき)に教えてあげるヨ。もちろんお金は貰うけどネ……報酬は…」
 そこで、アルゴさんはあたしの方を見て、
「シリカには普通の報酬の他に、特典が付くヨ」
 と、言ってきた。

「特典…ですか」
「そう、使い魔のモンスターのレベルを上げることが出来るようになる、《エクストラスキル》を習得出来るクエストを[受けることが出来るようになる]んダヨ」
「…えっと、どういう意味ですか?」
「まぁ、クリアすれば分かるヨ。あと報酬はダンジョンに隠されたアイテムと、クリア後に渡されるコルの大金らしいヨ」

「…なるほどな。どうする、シリカ。受けるか? シリカが受けるなら俺も一緒に受けるぞ」
 シュウさんが、あたしにどうするか聞いてくる。
 …どうしてこの人は、こんなに優しいんだろう…
 あたしと一緒にクエストを受けると自分も危険になるのに、それでもあたしの意思を重視(じゅうし)して、そしてあたしの為に付いて来てくれる。
 ……あたしは心のそこから思う。
 この人と一緒に戦えるようになりたい! …と。

「……正直、今の話を聞くと不安です……けど、それでもシュウさんと一緒に戦えるようになれるなら、どんなクエストだって受けたいです!」
「…だってよ。アルゴ、クエストの受け方を教えてくれ」
「……分かったヨ。なら明日クエストの受け方を教えるから、今日は明日の為に用意しておいてネ。明日から何ヶ月もメッセージや、アイテムとかの購入が必要でショ?」
「アルゴさん、ありがとうございます!」
「ありがとな、そうするよ。それじゃあ俺達は早速、準備をする事にするよ」
 教えてくれたアルゴさんに、あたしとシュウさんはお礼を言って準備の為、店の出口に歩きだ………そうと思ったら、シュウさんの後に立ち上がった、あたしの腕をアルゴさんが掴んだ。

「ど、どうしたんですか?」
 あたしがアルゴさんに掴んだ理由を聞くと、アルゴさんはあたしを引っ張って、あたしの耳の傍に顔を近づけて、
「…シュー助には、もっとダイレクトに伝えないと……気持ち、伝わらないヨ」
 と、言われた。
 あたしの…気持ち? シュウさんに対する? それって…つまり……
「え!? え~!? い、いつから気づいてたんですか!?」
 後ろで、あたし達の事を不思議そうに見てるシュウさんに聞こえないように、あたしも小声で話す。
 ……すると…
「ずっと前からダヨ。……やっぱり何かあったんダネ」
 ……ハメられてしまった…

「そ、それは……」
「…ムリには聞かないけど、今度どうなったかオイラに教えてくれヨ」
「わ、分かりました。い、いつになるか分かりませんけど、きっと教えます!」
「いつまでも待ってるヨ」
 あたしはアルゴさんと約束をして、シュウさんの所へ向かった。

「何、話してなんだ?」
「……秘密です……」
「……?」
 店を出て行く時に、シュウさんとこんな話をしていたせいか…アルゴさんが、あたし達に言った言葉を聞き取れなかった。

「いつまでも待ってるヨ、シーちゃん……だから、生きて帰ってきてネ」
 ……と言う言葉を。
 









 
 

 
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