SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第三章 成長
第24話 風
前書き
この2日で、総合評価が凄く上がった事に驚いています!
こんな小説を読んでくださって、ありがとうございます!
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
俺とシリカは、アルゴに《長期クエスト》の受け方を教えてもらい、二十四層の山の頂上に登ってクエストを受けた。
…そう、受けたまでは良かったのだ。
しかし現在、俺達は……
「「うわーーーッ!!」」
…ダンジョンのトラップに、殺されそうになっていた。
「な、なんですか!? このトラップの数は!!?」
「知らん! 流石に俺もこの数は予想外だよ。…確かにこれは、茅場からの挑戦状かもな。こんな場所に、何ヶ月もいたらイヤでも反射神経とか身に付くぞ…」
「あ! シュウさん、前!!」
「うぉ! 危な!」
シリカの声で、俺は目の前に来ていた矢をギリギリで避ける。
危なかった~、あと少し遅れてたら刺されてたぞ。
…俺とシリカは今、矢が飛んでくるというベタなトラップを必死に避けていた。
アルゴがSAOじゃ、ありえないと言っていた理由がよく分かった。
SAOには弓矢は存在しない。
だから、この状況は普通SAOでは起こらないはずなのだ。
まぁこんな状況が続けば、さっきシリカに避けながら言ったように、反射神経とかも付くだろう…
……それにしても、これは厳し過ぎるだろ!
と思っても、このクエスト取り消し不可だから、受けてしまった後ではもう遅いんだけどな。
アルゴはいったい、どうやってこのクエストの情報を手に入れたんだ? 今度、クエスト終わって会えたら聞いてみよう。
そうやって、避けながら逃げること数十分……やっと落ち着ける場所に出た。
「いやー、危なかったな…」
「そうですね。気を抜くとすぐに死んじゃいそうでした」
「受ける前は、たった地下15階に行くだけで、ちょっと楽だと思った自分もいたけど、今になるとあの時の自分を殴りたくなってくるな」
そう、このクエストは受ける前にNPCのお爺さんに入り口を開けてもらうのだが、その時に、
『無事、地下15階まで辿り着くことを祈っております』
と、NPCのお爺さんに言われたのだ。
なので、アルゴにあんなに忠告を受けたのに、俺は『地下15階まで着くだけでなんで何ヶ月もかかるんだ?』だなんて甘い考えをしてしまった。
けどアルゴの話だと、このダンジョンは気を休めるところは各階に1箇所しかないらしい。
他にもトラップの無いところはあるけど、モンスターが出てくるんだそうだ。
そりゃ、何ヶ月もかかるよ。
ちょくちょく休まないと、集中力持たないからな。…この厳しさだと…
「シュ、シュウさん。モンスターが…」
当然この場所も、気が休まるといっても入って始めの方なので、モンスターが出てくる。
まったく、イヤになるね…ホントに…
シリカが俺にモンスターが出てきたことを知らせる。けど、その声は明らかに疲れている。
「シリカ! 俺が先に一人で戦ってるから、ある程度休んだら交代してくれ!」
「わ、分かりました…」
疲れているシリカには休んでいるよう言って、俺は目の前のモンスターと戦う。
そうやって、俺達は交代しながら休んでいき、先へと進んでいった。
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2023年05月22日月曜日。
ダンジョンのクエスト開始から二週間が過ぎた。
俺とシリカは今、地下2階の三回目のトラップを潜り抜けた所だった。
「ふぅ、もう二週間になるけど……キツイな~」
「そうですね。このクエストを受けたいと言ったのはあたしですけど、流石にまだこれが何ヶ月も続くと思うと、気が遠くなってきます…」
「…同感」
そんな、少しこの先の事を考えて歩きながら話していたら……
「シュウさん……これって…」
「…ああ……絶対にトラップだ…」
…俺達の前の床に、『怪しいスイッチらしき物』があった。
「……ベタ過ぎだろ…」
「……あたしもそう思います…」
これを踏む奴がいたら、そいつは下を見てなかったか、絶対バカだ。
そう思いながら俺が先に進み、俺の後ろにいるシリカが踏まないように通ろうとしたら……
「なっ!!」
「えっ!?」
…二体のモンスターが、俺とシリカを挟むようにあらわれた。
シリカの後ろに現れたのは、第一層の時のボスに姿が凄く似ていた。
鎧の色と形が違うだけで、武器も湾刀になる前の、斧と盾。
そして、シリカの方に向いていた俺の後ろに現れたのは、そのボスの取り巻きと凄く似ていた。
マジかよ! こんな所で軽いボス戦か!
しかも、シリカまだ俺の後ろのモンスターにしか見えていない為か、自分の後ろは気付いてない。
俺は《索敵》でモンスターが現れたのが分かったから、少しだけ後ろに振り返って確認したけど…
「シリカ! 後ろだ!」
「え!?」
俺がシリカに後ろの事を教えてシリカが後ろを向くのと、俺の後ろのモンスターがジャンプして、俺とシリカの間にあるスイッチを踏んだのが、ほぼ同時だった。
そのモンスターがスイッチに乗った瞬間……モンスターが爆発した。
「うおッ!!」
「キャッ!!」
…自爆か、あんにゃろう!
と思いながら、当然のごとく爆発を喰らった俺とシリカは、吹き飛ばされてしまった。
「うっ……」
俺は吹き飛ばされた後、自分の位置とシリカと俺のHPをすぐに確認する。
俺とHPはイエローに入った所だが、シリカのHPは振り向いた時に喰らったので、背中でモロに爆発を受けてしまったらしい……レッドまでいっている。
そして俺の位置とシリカの位置、俺はさっきの自爆したモンスターが現れた少し後ろまで来たいた。
「なっ!!?」
俺はシリカの位置を確認したら、言葉を失った。
……もう一体のモンスターの目の前にシリカがいた…
しかもモンスターは、すでにシリカに斧を振り下ろそうとしていた。
今のシリカのHPじゃ、確実に死ぬ!
シリカもその事に気付いているらしい、でも短剣はまだ鞘に収まったままで、しかも後ろから爆発を受けた為か、スタンして動けないらしい。
「シリカ! 逃げろーー!」
シリカが動くのは無理だと分かっていても、俺は剣を抜き、《値移行》を使ったダッシュでシリカの元へ向かう。
「シュウさん!」
シリカが俺に助けを求めるように、目に涙を見せて、動かない体で必死に俺に手を伸ばす。
「シリカーーーーーッ!!」
俺もシリカの名前を言いながら、必死に走る。
でも俺とシリカの間の距離が、ほとんど埋まらない内にモンスターは斧を振り下ろし始める。
そのモンスター振り下ろし始めた姿を見て、俺の世界のすべてがスローになっていく。
けれども、頭の中は物凄く動いてる。
なんだ、この感じ!?
なれない感覚に戸惑いながらも、スローで動くモンスターの斧とシリカの距離。
そして、シリカと自分との距離。
その全部が分かり、シリカが攻撃を喰らう前に俺がシリカの元へ着くのが無理だと分かる。
…俺は、シリカを守れないのか…
…自分が守ると言った女の子を。
…自分の事を憧れだと言ってくれた子を。
…俺の大切な『妹』を。
…そして俺のSAOでも心の支えとなる人を!
「うぉーーーーッ!!!」
俺は無理だと…空振りになることを分かっていたが、少しでもモンスターへの距離を埋めようと剣を振った。
(このまま…シリカを助ける事を…)
「…諦めて溜まるかァーーッ!!」
そう叫びながら剣を振ったら、思いもよらない事が起こった。
俺の剣から、
『ブォーーー』
という音を出しながら、モンスターに向かって行く……風が起こった…
風はシリカにスレスレで当たらずに、モンスターに当たる。
そのままモンスターは『風に斬られながら』後ろへ吹き飛ぶ。
…シリカに当たらないように風が起こったので、モンスターには掠っただけでまだHPは残っているらしい。
「シュ、シュウさん…」
シリカの驚いたような声に、意識がスローから戻り始める。
「シリカ、大丈夫か!?」
「シュウさん……はい。大丈夫です」
シリカは俺に手の震えを見せないように、俺に言ってきた。
怖い思いしたのに強がりやがって…
その後、シリカのHPを回復させてからモンスターを倒して、地下2階に一つしかない休憩場所に向かった。
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休憩場所に着くと、シリカがいきなり俺の背中の服を掴んできた。
「……どうした…」
俺はシリカの手が震えてる事に気付いて、優しく声をかける。
「…怖かったです…」
そしたら、シリカが少し泣き出した声で言ってきた。
前に聞いた年齢だと、シリカはまだ12歳なのだ……あんな思いをして何も感じない方が可笑しい。
俺はそのまま、俺の背中に顔を近づけながら泣くシリカが泣き止むまで待った…
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「……ありがとうございます…」
「いや、あんな事があったんだ……もっと泣いても良いよ」
5分くらいしてシリカはやっと泣きやみ、俺は振り返りながら正直に思ったことを言う。
「いえ、今泣いてもっと決心が付いたので、もう泣きなせん」
俺の言葉に、シリカは明るい顔で返事を返してくれた。
…元気になってくれて、良かったよ。
「…何が決心付いたんだ?」
「もっと強くなろう! っていう決心です!」
「なるほどね。強くなればあんな事起きないと……そういうことだな?」
「はい!」
そんな話をして、シリカと俺は今日は寝ることにした。
「そういえば、あの時のシュウさんの『あれ』って何だったんですかね?」
シリカがこないだ買った寝袋を出しながら、さっき起こった俺の『風』について聞いてきた。
…シリカの事で頭がいっぱいで、忘れてた。
「それが、よく分かんないんだよ。夢中で剣を振ったらあんな事が……」
「…ソードスキルなら、スキルウィンドウに載ってるかもしれませんよ?」
「あ! そういえばそうだな」
俺はシリカに言われて、スキルウィンドウを見ると……
「あった!」
見たこともないスキルが2つ出ていた。……でも、このスキル…
「あったんですか?」
「ああ、でも見てくれこのスキル」
俺はシリカに見せる為に可視モードにして、ウィンドウを見せた。
「こ、これって……《ブレス》と《属性付与》!? どっちもモンスター専用スキルじゃないですか!?」
そう俺のウィンドウには、《ブレス》と《属性付与》が追加されていた。
この二つのスキルはモンスターの……しかも、結構ランクの高いモンスターの専用スキルだ。
それなのにプレイヤーの俺が、この二つにのスキルを使えるなんて、絶対に可笑しい。
ホント、何が起こってるんだ!?
「でも今考えると、間違いなくシュウさんが出したのは…」
「ああ、間違いなく《ブレス》だな。しかも《ブレス》の中でもっとも珍しい《風》のだ」
「……どういう事なんでしょうか?」
シリカと一緒に思い出して、《ブレス》なのは分かった。でも、なんでこのスキルが……
「「う~ん」」
ウィンドウを見た後、二人で横になりながらも考えていたが、結局は考え付かないので俺は違う話題を振ることにした。
あんな事あった後だから、シリカが寝る前に気の休まる話をさせる事が目当てだ。
…そうだな~。さっきシリカの年齢について考えたし、誕生日の話あたりで良いか…
「なぁ、シリカ」
俺が、隣で寝袋に横になっているシリカの方を向き、名前を呼ぶとシリカはこちらを向いて、
「はい? もしかしてどうして出たか、分かったんですか?」
と返事を返してくれた。
…まだ考えてくれてたんだ。本当に良い子だよ、シリカは。
「いや、もうスキルの事は今度考えることにした。それより、寝るまで少し喋らないか?」
「…そうですね。じゃあ、何を話します?」
「そうだな~……リアルに少し触れるけど、誕生日のことなんかどうだ?」
「それって、『誕生日に何があったか?』とか、そういう事ですか? …良いですよ」
「じゃあ、まずは誕生日が何月何日だか言い合うか」
…ちなみに俺の誕生日は、7月14日な。
「良いですね。ならシュウさん、あたしの誕生日が来たら、プレゼント買ってくださいね」
「先にプレゼントをお願いするなよ……それで、いつなんだ?」
「あはは、シュウさんの時はあたしがあげますよ……えっとですね、7月14日です」
……は?
俺はシリカの言った日に耳を疑う。
俺の聞き間違いだよな。
「どうしたんですか、シュウさん?」
「シリカ……もう一度でいいから、もう一回教えてくれない?」
「え、ええ。あたしの誕生日は7月14日です……これで良いんですか?」
なぬ!? 聞き間違いじゃなかった!?
と、いう事は……
「…………」
「あの、シュウさん。そろそろ、シュウさんの誕生日も教えてくれませんか?」
シリカは俺が、誕生日を言うのを待っている。
……聞いて驚くなよ…
「……7月14日だよ…」
「……へ!?」
「だから、7月14日! 俺とシリカは同じ誕生日なんだよ!」
「え……え~~!?」
俺だって驚いてるよ。
その後俺とシリカは、誕生日の事で驚きはしたが、しばらくして驚きも納まり、そのまま話をしながら一日が終わった。
…結局、俺のスキルは何で出たんだろうな?
俺はそんな事を考えながら、眠りについた。
後書き
シリカの誕生日は、勝手に作りました。
もし原作で決められていたなら、原作と少し違うと考えて下さい。
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