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夢幻水滸伝

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第二百三十五話 邯鄲からその八

「迷わないでし」
「そやな」
「はい、それでは」
「後ろは自分に任せる」
 屈の方はとだ、呉は述べた。
「そしてな」
「そのうえで」
「私は巴と共にな」
「ここで戦うですしね」
「そうするわ、何とか守って」
 そうしてというのだ。
「そのうえでな」
「戦いますか」
「そうする、ほなそっちは任せた」
「わかったでし」
 強い声でだ、郁は答えた。
「ではここは」
「これまで通り三人でな」
「戦うでし」
「では戦いましょう、ただここで敗れますと」
 どうなるかとだ、巴は述べた。
「私達は最早」
「戦えんな」
「勝てばまだ道がありますが」
「敗れるとな」
「既に山西省の多くを奪われています」
 巴はこのことも話した。
「既に」
「大同も取られたな」
「郁君がそうしたとか」
「民を傷付けずにな」
「そして金君の軍と合流して」
「南下していってるな」
「曹君も動いていて」 
 軍を率いてというのだ。
「山西省の要所に向かっています」
「そんな状況やとな」
「ここで敗れますと」
 そうなると、というのだ。
「もうです」
「戦えんわ」
「そうなります」
「ここでどう戦うか」
「まさに正念場です」
「出来れば攻めたいが」
 それでもとだ、呉は話した。
「それもやな」
「難しいです」
「それが現状やな」
「そうかと」
「そやから守りに徹する様にやな」
「私も提案しました」
 軍師としてそうしたというのだ。
「戦力差を考えて、攻めてもです」
「敗れるな」
「それが明らかだったので」
 それ故にというのだ。
「そうしましたが」
「それしかないか」
「はい、如何に策を用いても」
 それでもとだ、巴は呉に無念そうに述べた。
「戦力差がありますと」
「対抗出来んな」
「遊撃戦を行う手もありましたが」
「それをするとな」
「戦が長引いて」
 そうしてというのだ。
「それで、です」
「民に迷惑がかかるな」
「星の者ならば」 
 この世界を救う為にこの世界に来ているならというのだ。
「それはです」
「出来んな」
「ですから」
 それ故にというのだ。 
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