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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十九話 曹操、乳を飲むのことその一

                         第百十九話  曹操、乳を飲むのこと
 華陀は曹操の天幕に案内された。そこには夏侯姉妹もいる。その彼女達もだ。怪訝な顔で華陀に尋ねた。
「前の様にお尻とかはないな」
「若しそうならば」
「安心しろ。それはない」
 華陀もそれは否定した。
「曹操殿があまりに嫌がるのでな」
「だから私はそんな趣味はないわよ」
 曹操は自分の席に座りむっとした顔で言った。
「そりゃある娘もいるでしょうけれど」
「そうだな。俺の見たところ」
 ここでこんなことを言うのが華陀だった。
「李典殿にはその気があるか?」
「真桜が?」
「うむ。あの御仁は快食快眠快便だ」
 華陀はこのことも見ただけで看破していた。
「それだけに後ろが好きだな」
「ううむ。よくわからないが」
「真桜にはそうした趣味があるのか」
 夏侯姉妹は華陀の話を聞いて考える顔になる。
 そうしてだ。二人でこんなことを話した。
「私はあくまで前だけだがな」
「私もだ。後ろはとてもだ」
「うむ、少しな」
「理解できないものがある」
「よくね。男同士だとね」
 曹操もそちらの世界については知っていた。
「しているらしいけれど」
「はい、孔明殿や鳳統殿がよく読んでいる書ですね」
「陸遜殿は御自身でも書かれているそうですが」
「私には理解できない世界ね」
 曹操は自分の席で腕を組んで言う。
「男同士というのも」
「では女同士ならいいのか?」
 華陀はかなり率直にだ。曹操に問い返した。
「貴殿も見たところ経験がないだけれで男もいけると思うが」
「私が!?まさか」
「無論夏侯惇殿と夏侯淵殿もだ」
「私もか!?」
「そんなことはないと思うが」
「俺はそう思う」
 華陀は三人のそうしたことも見抜いていた。
「別の世界から合う男が来たのならな」
「確かにね。私もね」
 曹操もだ。華陀の話に応えて話す。
「テリーとかああいう人間を見ているとね」
「いいと思うな」
「桂花なんて覇王丸の生き方にかなり賛同してるし」
 同じ酒飲みという理由もあるが彼女は確かに覇王丸を認めていた。
「何気に柳生十兵衛なんていいと思うわ」
「確かに。あの御仁は渋いですね」
「中年の魅力があります」
 夏侯姉妹も十兵衛の魅力に気付いていた。
「まさに武士ね」
「そうだな。あちらの世界には魅力ある人物が多い」
「ギース=ハワードもいいかしら」
 曹操は悪い男についても言及した。
「格好いいっていうかね。生き方も何もかも」
「テリー殿も狼ですがギース殿も狼です」
 夏侯淵はギースの本質を的確に見抜いていた。
「確かに宿敵同士ですが」
「それでもですね」
「あの御仁もまた」
「そうなのよ。ギースも狼なのよ」
 曹操もギースについて話す。
「二人はそうした意味で同じなのよ」
「狼は好きか」
「いい動物だと思うわ」
 曹操は華陀にも答える。
「誇らしい生き物じゃない」
「そうだな。だが意中の相手は」
「何か悪いのよ」
「悪い?」
「桂花も言ってるけれど。例えば覇王丸にはお静って人がいるのよ」
 気持ちをわかっているがあえて剣の道を選んでいる為に背を向けているだ。その相手のことだった。
「あのね、私はネトラレとか嫌いなのよ」
「あくまで相思相愛だな」
「そうよ。想っている者同士が幸せになる」
 そのことはだ。曹操は真面目に言い切る。
 
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