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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十八話 程昱、猫を愛でるのことその七

「そういうことですね」
「言えない様なこともあったし」
「ですよね。こうした世界は」
「そうそう。それは皆もだけれど」 
 だがその中でだ。孫尚香は。
「特にうちってそういう娘多いからね」
「確か孫権さんも呂蒙さんも」
 ナコルルはとりわけ呂蒙について言う。
「呂蒙さんのお名前って幾つあるんですか?」
「五十近いんじゃないの?」
 孫尚香は考える顔になりだ。両手の指を使って数えはじめた。そして言った数字は。
「四十七?もっとある?」
「物凄く多いですよね」
「あの娘自身覚えきれてないかも」
「ですよね。多過ぎて」
「あと実は袁術のところの張勲も名前多いし」
 呂蒙だけではなかった。名前が多いのは。
「シャオは名前自体は少ないけれどね」
「関わっている世界がですね」
「多いのよね」
「あっ、後は」
 ナコルルはさらに気付いたことがあった。孫策陣営のことで。
「甘寧さんも黄蓋さんも」
「多いでしょ。凄く」
「はい。ああした世界の常連さんですよね」
「そうよ。姉様達もそうだし」
「内緒ですけれどね。一応」
「シャオだって表と裏はそれぞれ違う人ってことになってるから」
 誰もがわかっていてもだ。そうだというのである。
「難しい話よね」
「秘密にしないといけないことですから」
「というか違うってことになってる話だから」
「その辺りは」
「そういうことでね。まあ話を戻して」
「はい」 
 ここでだ。やっとだった。動物の話に戻った。
 孫尚香は自分が乗っている白虎を見てだ。言うのだった。
「この子とはずっと一緒にいるけれどね」
「賢い虎ですね」
「そうよ。全然怖くないのよ」
 孫尚香にとってはである。
「けれど皆びっくりするのを。最初に見たら」
「わかります。私もですから」
「ナコルルもなのね」
「この子達はどうしても」
 見ればナコルルの周りには犬や猫や狐達だけでなくだ。狼や豹、熊までいる。鷲やそうした猛禽類まで彼女の周りに集まっている。
 その彼等の頭を撫でながらだ。ナコルルは寂しそうに言うのである。
「怖がらせてしまいます」
「猛獣だからね」
「心が通い合えば」
 それならばだった。
「違うのですが」
「けれどね。そういうのってね」
「できにくいものみたいですね」
「人も生き物で」
「自然の中にあります」
「それがわからないのね」
 孫尚香はそのことには悲しい顔を見せる。
「だから。それで」
「生き物達ともこうしてできないのですね」
「シャオこの子達のことわかるわ」
 孫尚香はだった。
「それでナコルルもね」
「はい。ただ」
「それでもよね」
「オロチとは違います」
 彼女達とオロチは違う。このことはだった。
「彼等は自然は自然でも」
「荒ぶる自然?何か違う?」
「自然の中にある独善、そしてエゴです」
「そうした感じよね」
「自然といっても常にいいものではなく」
「邪なのもあるよね」
「ですからオロチにはです」
 どうかというのだ。そのオロチは。
「邪なものが感じられるのです」
「独善故になのね」
「そう思います」
「そうね。前から妙に思ってたのよ」
 孫尚香は腕を組み眉を顰めさせながら述べる。
 
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