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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十七話 社、三姉妹と競うのことその八

「あくまで今日のところはな」
「ええ。けれど次はね」
「こうはいかないわ」
「そろそろ余興は終わりだな」
 社はバイスとマチュアの話にも応えながら話す。
「本番をはじめるか」
「僕達の力を最大限に使ってね」
「それでなのね」
「奴等はあそこで天麩羅になるぜ」
 社はいつもの楽しげな笑みになって言う。劉備達の陣を見ながら。
「木ばかりだからよく燃えるだろうな」
「それに風があればね」
 クリスは右手を前に掲げ手の平を上にやった。そこに青い火の玉が沸き起こる。
「確かに妖術は封じられたけれどね」
「俺達の力は自然の力だからな」
「術では防げないわよ」
 社もシェルミーも楽しげに笑いながらだ。今は水平線の彼方に消えていく。
 彼等が消えたのを見てだ。草薙は鋭い目で述べた。
「とりあえずは、だな」
「奴等は諦めが悪い」
 八神もだ。同じ目で続く。
「すぐに来る」
「その辺りは御前と同じだな」
「俺とか」
「何かっていうと俺につっかかってくるだろ」
「俺はつっかかりはしない」
 八神はそれは否定する。
「俺は貴様の命を狙っている。それだけだ」
「それだけだってんだな」
「そうだ。奴等とは違う」
 あくまでオロチとは違うというのだ。ここに八神とオロチの決定的な違いがあった。
「そのことは言っておく」
「確かにな。執念深くてもな」
「奴等は滅ぼすだけだ。自然とやらの我儘でな」
「自然の我儘かい」
「奴等の意志は自然の総意ではない」
 八神は見抜いていた。オロチとはどういったものか。
「オロチは自然を司る神の一柱に過ぎないのだからな」
「人間は自然の敵じゃないってんだな」
「人間もまた自然の一部だ」
 八神は一言で看破してみせた。
「奴等はそれがわかっていないだけだ」
「成程な。じゃあ奴等はあれなんだな」
 草薙も八神の話を聞いてだ。理解したのだった。
「妄執でしかないんだな」
「俺には妄執はない」
 八神のそのことは否定する。
「それは言っておく」
「わかったぜ。じゃあ俺達はその妄執をだな」
「焼き尽くす」
 それが八神の考えだった。オロチに対する。
「オロチは。確かにな」
「俺もそうするけれどな」
「勝手にしろ」
 草薙に対してはこう言う八神だった。
 何はともあれ戦いは終わった。今回の戦いは。
 兵達の虚脱も喧騒も終わりだ。陣は元に戻った。三姉妹はそのことを明るく喜んでいた。
「やったわね。勝ったわよ」
「ええ。あたし達の歌の勝利よ」
「やったわね」
「それじゃあね」
 張角が元気よく言う。
「お祝いに御馳走食べようよ」
「孔明ちゃんや鳳統ちゃんにお願いしてね」
「それと曹操さん達にも」
 三人はここぞとばかりに言う。
「あとあの秦兄弟の青い方にもね」
「舞ちゃんもお料理上手だしね」
「ロック君にもお願いして」
 こうしてだった。三姉妹は彼等の御馳走をねだる。それを受けてだ。
 典韋がだ。巨大な中華鍋を操りだ。料理を作っている。それを見てだ。
 
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