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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十七話 社、三姉妹と競うのことその七

「だからそれが起こるから」
「じゃあこの歌も」
「終わるわ」
 その終わり方はどういったものかというと。
「私達の勝ちよ」
「兵隊さん達もこれで」
「完全に元に戻るわ」
「もうすぐなんですね」
 劉備はそのことがわかってだ。笑顔になって言う。
「皆が助かるのは」
「そうよ。それにしても」
 曹操は劉備のその天真爛漫な笑顔を見てだ。少し苦笑いになって述べた。
「貴女は勝つことよりも兵達のことが心配なのね」
「ええと。勝つことは確かにとても大事ですけれど」
「それでもなのね」
「はい。兵隊さん達が無事で勝てたら最高です」
「そういうことなのね」
「曹操さんは違うんですか?」
 逆にだ。劉備は少しきょとんとした顔になって曹操に尋ねた。
「兵隊さん達が無事なのは嬉しくはないんですか?」
「確かに大事よ」
 曹操もそのことは否定しない。
「けれどそれでもね」
「戦いに勝つことがですか」
「ええ。それが第一と思っていたわ」
 言葉は既に過去形だった。曹操が気付かないうちにそうなっていた。
「その為には必要ならね」
「兵隊さん達はですか」
「多くの犠牲も仕方ないと思っていたわ」
 軍略家としてだ。そう思っていたのだ。
「けれど貴女を見ていると」
「私をですか」
「甘いと思うわ」
 こうも言った。それは否定できなかった。
「それでもね。あえて兵達の心配をする」
「そのことがですか」
「違うわね。貴女みたいな考えには中々なれないわ」
 今度は優しい笑みになって言う曹操だった。
「けれどそういう貴女だから」
「私だから」
「何かができるのね」
 こう言ってだ。心の中で劉備を認めるのだった。彼女達は今はあくまで歌い続ける。
 そしてだ。その戦いが遂に終わる時が来た。歌い続ける社達のところにだ。
 朧が姿を現しだ。こう囁いたのである。
「すぐに陣に戻ってくれるかのう」
「何かあったのかよ」
「うむ、あの怪物共が現れた」
 そうなったというのである。
「そして連中の歌でじゃ」
「何だ?陣がとんでもないことになっておるのか」
「左様じゃ。兵達が次々に吹き飛ばされておる」
 歌によってだ。そうなっているというのだ。
「歌には歌じゃ。頼めるか」
「仕方ねえな」
 その話を聞いてだ。社は歯噛みしながら述べた。
 そうしてだ。オロチの同胞達に告げるのだった。
「おい、残念だがな」
「撤退だね」
「ここで」
「ああ、そうするぜ」
 こう彼等に告げるのである。
「忌々しいがな」
「仕方ないね。流石に陣を壊されたらね」
「戦いは負けよ」
 クリスとシェルミーはさばさばした感じで言う。
「それなら今はね」
「帰りましょう」
「今日のところは奴等の勝ちにしておくさ」
 社は三姉妹やアテナ達を見て述べた。
 
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