恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百十七話 社、三姉妹と競うのことその五
「貴女のことも司馬尉のことも」
「どちらもですか」
「そうすればあの女をより早く除けましたのに」
「申し訳ありません、我々もです」
「気付けませんでした」
田豊と沮授が謝罪する顔と声で袁紹達に述べる。
「あの司馬慰の正体にです」
「全く以て」
「仕方ありませんわ。これはわたくしの不明」
だからいいというのだ。袁紹は歯噛みしつつ述べる。
「あの女のことは常に意識していたというのに」
「そして今ですね」
蔡文姫がここで言う。
「あの女は異形の者達と共に」
「ええ、あの場所にいますわ」
袁紹は見た。対岸にある敵陣の方を。
「必ず。勝ちますわ」
「そうして天下を救いましょう」
「あの者達を滅ぼして」
田豊と沮授も応えてだった。まずは舞台を整える。社達の演奏は続き陣中の不穏な空気が増していたのでだ。舞台の設置は急に進められていた。それを見てだ。
社達は船の上からだ。楽しそうに話す。休憩の中でだ。
「いいねえ。向こうもやる気だよ」
「そうだね。それこそ総動員でね」
「私達に対抗する気ね」
クリスとシェルミーも応える。
「まずは陣中の混乱を抑えるんだ」
「そして私達にも戦力を向けるみたいね」
「あの三姉妹が来るわね」
「私達が利用していた」
バイスとマチュアは彼女達に注目していた。見れば港に設置されていく舞台のところに三姉妹がいた。そして彼女達以外にもだ。あの面々もいるのだった。
「それに草薙京と八神庵」
「あの二人もね」
「へっ、あの二人は何だかんだいってよく一緒にいるな」
社も彼等の姿を見て楽しそうに言う。
「他の連中もいるしな」
「麻宮アテナにテリー=ボガード」
「それにナコルルだったわね」
「ああ。あの五人は音楽に力があるからな」
そのうえでの五人だというのだ。
「それで一緒になってるからな」
「で、僕達と争うんだ」
「そうするのね」
シェルミーとクリスも楽しそうに話す。
「三姉妹とあの五人」
「数ではこちらが劣勢ね」
「音楽は数じゃねえよ」
社は数についてはあっさりと受け流した。
「心なんだよ」
「そうだね。どれだけ人の心を操れるか」
「そうした話だからね」
「ああ。だからやるぜ」
社はまた言う。
「勝負をな」
「よし、それなら」
「再開ね」
こうしてだった。オロチの彼等は再び演奏に入る。それと同時にだ。
三姉妹もだ。舞台ができたのを見てだ。そこにあがる。アテナ達も既に自分達の舞台でスタンバイしている。そのアテナと張角がだ。それぞれの舞台から話をする。
「それではですね」
「うん。歌は替わりばんこでね」
「歌いましょう」
「そうしようね」
お互いににこりと笑ってだ。そうしてである。
まずはだ。張角が妹達に告げる。
「じゃあ地和ちゃん、人和ちゃん」
「ええ姉さん、歌うわよ」
「思いきりね」
「あの時のことは忘れてないんだから!」
張角はきっとした顔でオロチの船を見て言う。特にバイスとマチュアを見て。
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