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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十七話 社、三姉妹と競うのことその四

「だから。敵陣で歌ってくれるかしら」
「ううん、敵もあたし達の美しさに魅了されたのね」
「敵でさえ魅了する。あたし達って本当にね」
「罪な女ね」
「全くだわ」
「だからお願いできるかしら」
 曹操は究極の戦略兵器を敵に打ち込もうともしていた。
「そちらでね」
「ええ、わかったわ」
「それならね」
 二人も快諾してだ。そのうえでだ。
 瞬間移動で消えた。それを見届けてからだ。曹操は安堵した顔で言った。
「これでいいわね」
「はい、敵軍は大混乱に陥ります」
「ええ、確実にね」
 そのことをいいとしてだ。荀彧に話す。
「私達の陣は守られてね」
「そして敵軍はです」
「大混乱に陥るわ」
「本当に危ないところでした」
 荀彧は心から安堵していた。そうしたやり取りの中でだ。
 曹操はあらためてだ。三姉妹に話した。劉備と同じく。
「じゃあいいわね」
「うん、いいわ」
「それじゃあ頑張らせてもらうからね」
「歌うわ」
 三姉妹も快諾してだ。そのうえでだ。
 舞台の設定にかかる。それも陣の至るところでだ。それを進めながら袁紹が言う。
「さて、舞台の設置が終わりましたら」
「鑑賞ですね」
「その舞台の」
「ええ、そうしますわ」
 こう辛姉妹にも答える。その中でだ。
 全ての舞台の演出を担当しているだ。蔡文姫に問うたのだった。
「ところでなのですけれど」
「はい、先程のお話ですね」
「あの男でしたのね」
「間違いありません」
 蔡文姫も真剣な顔で袁紹に答える。
「あの首は間違いなく。腐っていたとはいえ」
「貴女を攫い匈奴に売った男ですのね」
「紫鏡、屍といいましたが」
 その男のことだった。
「あの男こそが私を都から攫って」
「それでは、ですわね」
 袁紹はその話を聞いて眉を顰めさせた。そうして言うのだった。
「貴女を攫わせたのもまた司馬尉か于吉かの策略でしたのね」
「オロチや常世とも考えられますが」
「どちらにしても同じですわ」
 彼等が結託しているからだ。それでだというのだ。
「貴女を都から遠ざけたことは変わりませんわ」
「そのことですが」
「考えられることはです」
 ここでもだ。田豊と沮授が袁紹に言ってきた。
「名家の出身で教養も豊かな藍玉殿を司馬尉達が疎ましく思ったのでしょう」
「それで都から遠ざけたのかと」
「そういうところですわね」
 袁紹も察しながら述べる。
「この娘は先の帝の憶えも目出度く宦官達も一目置いてましたし」
「大将軍も側近にされようとしていましたし」
「ですから」
「司馬尉にとっては邪魔以外の何者でもありませんでしたわ」
 袁紹は今言った。
「それ故に、ですわね」
「そう考えられます」
「憶測ですが」
「いえ、確かですわ」 
 それはだ。間違いないと答える袁紹だった。
「藍玉がいなくなり司馬尉は大将軍に一気に接近しましたし」
「だからこそですか」
「あの男を使って拉致を」
「司馬尉のしそうなことですわ」
 袁紹はこうも言った。
「若しあそこでわたくしがこの娘を見つけていなければ」
「はい。あのまま匈奴のところで虜囚になっていたままでした」
「あの最果ての地で」
「私もそう思います」
 蔡文姫自身もだ。そう思っているのだった。
「あの時麗羽様に見つけて頂けなければ」
「もっと早く気付くべきでしたわ」
 袁紹は眉を顰めさせたまま述べる。
 
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