真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第1話 人生の始まりは幼児プレイ
エン州山陽郡大守役宅ー
神様に落とされた穴をやっと抜けることができました。
穴の中は真っ暗だったので、正直地獄に落ちているのではと不安でした。
延々とつづく闇って凄く怖いです。
地獄ではないようです。
無事、転生できたようです。
その証拠に、現在、私は笑顔の女性に抱かれています。
精神は29歳なので、この状況恥ずかしいですっ!
腕も、足も上手く動かないですし、喋ろうにも「あぶ、あぶぅ」と赤ちゃん言葉です。
赤ん坊だから当たり前なのでしょうが・・・。
この状況、鬱になりそうです。
私が鬱な気分になっているのとは裏腹に、私の眼前では見知らぬ人達が私を囲んで笑顔で思い思いに話しています。
「おめでとうございます。元気な男の子でございます。」
「おめでとうございます。奥様」
「本当にめでたいことじゃ!これこれ祝いの酒を持て」
「でかしたぞ!元気な男の子だ!判るか?私がおまえの父だぞ!」
「母上、おめでとうございます!」
「 義父上ありがとうございます。あなたはしゃぎすぎですよ。うふふ。燐もありがとう。皆もありがとう」
状況を把握できないのですが・・・多分、私を抱いているこの人が母ですね。
髪は栗色のストレートヘアーで、目鼻立ちは整っていて、綺麗なお姉さんです。
惚れてまうやろーーー!
こんな美人と一緒にいるのは、落ち着かないです。
祖父と父らしきこの人達は、多分、劉本と劉輿ですね。
劉本は青州平原郡般県の県令で、劉輿はエン州山陽郡の太守だったような・・・。
そして、姉の劉岱は将来、エン州刺史に任官されます。
先ほど「燐」と言われた女性が、劉岱のようです。
兄と思ったのですが、召使いが「岱様」といっていたのが聞こえました。
姉は黒髪のボブショートヘアーにした凛とした女性です。
今更ですが劉はエリート中のエリートなのだなと実感します。
劉の家は、遡ること高祖・劉邦の孫である斉の孝王劉将閭の末子の牟平共侯劉渫の直系の子孫です。
れっきとした前漢の皇族です。
家族の面々はいうに及ばず、叔父の劉寵は三公に4度もつく大物政治家です。
正に政治家一家といえます。
劉備のような自称・皇族の噂がある胡散臭い人とは一線を画していると思います。
でも、いくらエリートといっても「群雄割拠の時代」を生き残れなければ意味がないですけど・・・。
実際、姉の劉岱は黄巾の乱で戦死します。
そして劉も「バトルジャンキー」こと孫策と戦って破れ、逃亡先で病没します。
この世界は「 真・恋姫無双」なので、史実通りかどうか判らないです。
それでも幸せに家族に看取られながら、大往生することはないと思います。
はぁ~、鬱になります。
しかし、私には神様から与えられたチート能力があります。
これで幸せな第二の人生を謳歌してやります。
「ふふ、どうしたのかしら、 ボーーーとしちゃって」
気づいたら母が笑顔で私の顔を覗き込んでいます。
「おおっ、大事なことを忘れておるのはないか、蔵人よ」
「父上、何をですか?」
「父上、弟の名前が決まっておりませんよ」
「弟はがっかりしているのでしょう。自分の名前をつけてくれない父上に落胆したのではないですか?そうなのであろう弟よ」
姉は茶目っ気たっぷりの顔で、私に語りかけてきた。
「何っーーー!そうなのか我が息子よーーー!」
「名前なら既に決まっておるぞ、かわいい息子の名前を考えていないはずがなかろうーーー!」
テンション高めの父がおもむろに懐から二つ折りにした紙を取り出し、私たちに向けて紙を開いて見せた。
「名はヨウ、字は正礼、真名は正宗」
父はその紙に書かれている内容を意気揚々と読み上げました。
「我が息子よ、気に入ってくれたか?」
真名が正宗って、ここ中国だよね?
考えたら負けだ・・・
「気に入っておらぬようじゃな」
「そうですねぇ、お義父様。でも、何かに驚いているみたい。もしかして文字が判るのかしら?」
私を覗き込む2人。
鋭いなこの人達・・・。
「な・・・なんだとっ!節も父上も酷いぞ。そのようなことはないよな、我が息子」
雷に打たれたようにショックを受けた父は、直ぐさま立ち直り私に笑顔を近づけてきました。
面倒くさいと思った私は、笑うことにしました。
「キャッ、キャッ!あぶ、あぶぅ」
29歳の精神にとって、幼児プレイは苦痛です。
こうして私の新たな人生の第1日目は過ぎました。
後書き
どうでしたでしょうか?
誤字、脱字、変な言い回しなどがありましたらご指摘いただけるとありがたいです。
劉ヨウの今後なのですが、オリジナルルートを予定しています。
話は逸れるのですが、劉ヨウの父劉輿はエン州山陽郡の太守なので、曹操とゆかりの深い陳留とは一郡を跨いだだけなので、曹一族との接点とかあるかも等と考えてしまいます。
ただ、接点があったとしても劉ヨウの一族は清流派なので曹一族と仲が良いとは思えないですよね。
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