| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百二十九話 蘭州攻略その九

 羅は守りに徹し敵軍の突撃を凌いでいた、そこにだった。
 屈と陳が率いる砲兵隊を主力とする右翼の軍勢が動いてだった、突撃に必死な敵軍の左側面に来てだった。
 砲撃に入った、多くの砲が一斉に火を噴き轟音と共にだった。
 敵軍を吹き飛ばす、爆発と煙と炎が敵軍を襲い多くの敵兵も馬も吹き飛ばした。
 その砲撃を見てだった、碧は瑠璃子達四人に言った。
「決める時じゃ」
「はい、ここでですね」
「突撃ですね」
「敵の右側面から」
「そうしますね」
「そうじゃ、一気に切り込むけえ」
 騎兵隊でというのだ。
「そうするんじゃ」
「わかりました」
「ほなそうします」
「ほなこれから」
「攻めましょう」
「そうするで」
 こう言ってだった。 96
 碧は四人と共に騎兵を率い砲撃を受け崩れた敵軍の右側面から突撃を行った、自ら先頭に立ち敵を薙ぎ倒す。
 そこに四人と騎兵も続く、これで西の軍は総崩れとなった。それを見てだった。
 莫は苦い顔で言った。
「もうあきません」
「敗北は決定的ですね」
「もうこれで」
「ここまで攻められますと」
「どうにもなりませんね」
「曹さんと金君も今は」
 二人を見るとだった。
 羅に劣勢だ、何とか持ちこたえている感じだ。それを見て言った。
「ギリギリ、ほなです」
「ここで、ですね」
「退きますね」
「勝敗は決しました」
 だからだというのだ。
「これ以上の戦闘は犠牲を増やすだけです」
「そやからですか」
「ここは退きますか」
「そうしますか」
「後詰めはわたくしが引き受けますので」
 それでというのだ。
「曹さんと金君にもです」
「撤退ですね」
「それを知らせて」
「そのうえで、ですね」
「退きます」
 こう言ってだった。
 莫は自軍を収め撤退に入った、負傷している者から先に戦線を離脱させ曹そして金と合流するとだった。
 自らが後詰めとなるので二人も先にと話したが二人は笑って返した。
「いや、ここはや」
「三人で頑張ろうな」
 こう返したのだった。
「さもないと無理やろ」
「この勢いで攻められてるとな」
「そやからな」
「ここは三人で後詰めを務めるで」
「そうですか、ほな」
 莫は二人の言葉に頷き力を合わせてだった。
 防御系の術を中心に使って自軍を守り撤退の采配を執りつつだった。
 そのうえで撤退を進めていった、羅はその状況を見て自分の隣に来た碧に話した。
「ええ戦ぶりやな」
「敗れはしたがのう」
「退きの采配もええが」
 それに加えてというのだ。
「自軍を守る為に身体を張って戦ってる」
「その心意気見事じゃ」
「この三人やっぱりな」
「最初から考えていた通りにじゃな」
「仲間にする」
 碧に笑みを浮かべて話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧