夢幻水滸伝
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第二百二十七話 内モンゴルを手に入れその十一
「仕掛けるで」
「そうしますか」
「そや、例えば軍の中に密偵を入れたりもな」
「しますか」
「西のモンは不得意みたいやがな」
そこの星の者達はというのだ。
「そうした工作は」
「しかしですね」
「劣勢であることを自覚してると」
それならというのだ。
「何でもする」
「奇襲でも伏兵でもで」
「そして策もな、埋伏の毒なんてな」
三国志であった策略だ、曹操が赤壁の戦いの前に対する孫権の方に自分の臣下をあえて孫権に降らせてダブルスパイとして用いたのだ。ただしそれは敵の水軍を預かる周瑜に見抜かれており成功しなかった。
「してくるかもな」
「知れんですか」
「それが星のモンやなくてもな」
「元からこちらにおるモンでもええですね」
屈が鋭い目で言ってきた。
「それでも」
「そや、若しくはこちらのモンを買収するなりしてな」
「工作員にする」
「そして内部の情報を盗んだりな」
「破壊工作をですね」
「仕掛けるなんてこともな」
そうしたこともというのだ。
「有り得る」
「そういうことですね」
「そやからな」
それでというのだ。
「ここはな」
「内部もですね」
「見てくで、監視を強化すると言えば聞こえは悪いが」
「軍自体への工作を警戒しますね」
「そや、我等もそうするが」
それだけでなくというのだ。
「さらにな」
「憲兵を使いますね」
「そうするわ」
こう言うのだった。
「ここはな」
「そうしますね」
「そして少しでもおかしなところがあれば」
「対しますね」
「そうする、兎に角な」
「今はですね」
「敵が何かをしてくるとな」
その様にというのだ。
「考えてな」
「そうしてですね」
「やってくで」
「わかりました」
屈は羅のその言葉に頷いた、そして。
自分からだ、羅にこう言った。
「斥候を増やし中にもシーフ系の職業の憲兵を多く使い」
「そしてな」
「耳をそばだて」
「見るな」
「日本の諺にもありますね」
「壁に耳あり障子に目ありやな」
「はい」
まさにその諺通りにというのだ。
「していきます」
「それで頼むな」
「それでは」
「劣勢な相手が何してくるか」
羅は確かな顔と声で答えた。
「そこから考えてな」
「そしてですね」
「こっちも動くんや」
「優勢であることに安心しない」
「むしろそのことを自覚してな」
そうしてというのだ。
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