夢幻水滸伝
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第二百二十五話 東北掌握その十二
「碧ちゃんにもな」
「来てもらいますか」
「そうするわ」
羅はこのことも決断を下した、そうしてだった。
まずは奈良の四人と話をつけた、そのうえで。
「碧ちゃんもな」
「来てくれますか」
「そうなったが」
羅は残に難しい顔で述べた、今は昼食を摂りつつ五人で食べている。豚腹煮込みに卵とトマトを炒めたものに麦を練って焼いた餅というメニューだ。
「しかしな」
「国木田さんが来られると」
「いつもやからな」
「婿にならんかですね」
「そう言うてくるからな」
「式と初夜のお話も」
「あからさま過ぎてな」
その言うことがというのだ。
「こっちとしても困る」
「そやからですね」
「悪い奴やないし戦力にもなるしな」
それにというのだ。
「おまけに小柄やが可愛いしな」
「こちらも世界でもあの人は」
「ホビットやからな」
この種族故にというのだ。
「小さい、しかしな」
「別嬪さんですか」
「そや」
「その別嬪さんって言い方があれですね」
屈は残のその言葉に笑って突っ込みを入れた。
「関西ですね」
「そやな」
残も笑って返した、餅を食べつつ。
「おらっちもそう思うわ」
「そうですね」
「それで国木田さんはな」
「別嬪さんで」
「実は女子力相当高くてな」
それでというのだ。
「お料理お掃除お洗濯とな」
「全部出来ますか」
「大和撫子らしい」
屈に囁く様に話した。
「どうもな、しかしな」
「それでもですね」
「あの通りや」
「あれはどうにかならんか」
羅は箸を動かしてトマトを食べつつ言った、その顔は憮然となっている。
「ほんまにな」
「そやからですね」
「頼りにしてるが」
羅は屈に話した。
「しかしな」
「それでもですね」
「来てもらうことになった」
「そやからですね」
「働いてもらう、西とのことが終わるまでな」
「ほなそういうことで」
「北京に迎えるで」
今自分達がいるこの街にというのだ。
「ええな」
「五人共ですね」
「そうするで」
このことを話した。
「そして婿になるって話はな」
「避けますね」
「そや」
そうするというのだ。
「それと四人についてはな」
「さぼらない様に目を光らせますか」
「あの四人の怠け者ぶりは有名や」
魯は真顔で言った。
「そやからな」
「それで、ですね」
「さぼらん様にな」
「監督していきますか」
「そうする、少なくとも報酬分は働いてもらう」
その様にさせるというのだ。
「ええな」
「それでは」
「ああ、まずは五人を迎えるで」
こう言ってだった。
五人との契約を取り付けた羅は彼女達を北京に迎えることにした、だがその顔は今一つ浮かないものだった。
第二百二十五話 完
2021・9・8
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