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夢幻水滸伝

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第二百二十三話 武闘場からその十三

「政においてな」
「残様が来られるまで長春といいますか中国全体がです」
「餓えてるところまで酷なかったな」
「多くの勢力に分かれていて小競り合いがあっても」
 それでもというのだ。
「ですが」
「酷い状況でもなくてな」
「田畑は荒らされず人手もそのままで」
「流通もやな」
「しっかりしているので」
「民は餓えてなかったな」
「そうでした、しかし」
 それでもというのだ。
「この勢力はです」
「おらっちが治める様になってか」
「民は常に満足出来る様になっています」
「満腹してるな」
「左様です」
「それは何よりや、さもないとな」
 残は麺の具であるチャーシューを食べた、他には葱が多く入っており麺をほぼ完全に覆っている程だ。
「どうにもならん、世界を救うとしたら」
「餓えはですね」
「絶対に起こしたらあかんわ」
「左様ですね」
「そやからおらっちも力を入れたが」
「それが功を奏し」
 それでというのだ。
「誰もが常に満腹になっても」
「ええか」
「勿論残様もです」
「それは何よりや、ほなな」
「はい、存分に召し上がって下さい」
「ほなな」
 市長のその言葉に頷いてそうしてだった。
 彼は実際に麺を楽しんだ、そこでこうも言った。
「これは結構幅の広い麺やが」
「はい、美味しいですね」
「日本やとこうした中国の麺はな」
「何でもラーメンと言ってですね」
「こっちの世界でもやな」
「独自の進化を遂げた様な麺を食べていますね」
「そやな、あれを中国の料理って言うてるが」 
 起きた世界で食べたそれのことを言うのだった。
「しかしな」
「違いますね」
「ラーメンは拉麺のことやが」
 中国のその麺も話に出した。
「しかしな」
「拉麺ともですね」
「ちゃうからな」
「麺も独特で」
「拉麺の麺ではないですね」
「その麺の種類もスープの種類も具もな」
 即ち全てがというのだ。
「地域によって違って」
「まさに独自の進化を遂げた」
「そうしたものや」
「それを我が国の料理と呼ぶのは」
「カレーもやしな」
「インドのカリーですね」
「あれも独自の進化を遂げてな」 
 そうしてというのだ。
「もう凄いことになってる」
「そうなのですね」
「他のことも色々わからんが」 
 それでもというのだ。
「特に料理のことはな」
「わからない国ですか」
「しかしおもろい国や」
 残は笑ってこうも言った。
「知って損はないで」
「そうした国ですね」
「そや、ただな」
「ただ?」
「言葉は難しい」
 残はこのことは真顔で述べた。
「文字が四つある」
「四つもありますか」
「この世界では言語は統一されててな」
「方言はありますが」
「それで文字は一つやが」
 それがというのだ。 
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