夢幻水滸伝
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第二百二十三話 武闘場からその十四
「あの国では四つや」
「変わった言語ですね」
市長は想像出来ないという顔で述べた。
「それはまた」
「そやから勉強するにはな」
「難しいですか」
「日本語とそれ以外の言語と言ってええ位な」
そこまでというのだ。
「ちゃう、独自の進化を遂げてる」
「それが残様が起きられた世界の日本の言語ですか」
「しかも昔の言語もあってな」
古文のことである。
「それがまたな」
「難解なのですね」
「こっちの世界はあの言語やなくてよかった」
残は心から言った。
「この世界の昔の言語であったか」
「かつてこの世界は多くの言語は存在していました」
市長ははっきりと言った、彼は食べ終えていてそうして今は茶を飲んでいる。残は三杯目に入っている。
「ですが統一された時に」
「言語もやったな」
「貨幣も度量衡もそうなり」
「完全に統一されてるな」
「そうなりました」
「そやったな」
「それでなのです」
市長はさらに話した。
「我々は地域に関係なくです」
「言葉が通じてな」
「お金もそのまま使えて」
「計りも楽やな」
「そうなのです」
「そうなってるな、そやから統一しやすい」
残はこのことは真顔で述べた。
「いざという時は」
「左様ですね」
「そうやとな」
残はさらに言った。
「この世界のそうした面での政はせんでええな」
「言語や度量衡の統一はですか」
「始皇帝はまずはそれを大々的にやった」
統一してというのだ。
「起きた世界ではな」
「あの法と治の神の一柱ですね」
「こっちの世界ではそやな」
「はい、厳格な」
そうした性格でというのだ。
「そうした神ですね」
「始皇帝は起きた世界では中国を統一した」
周の力が弱まってから春秋及び戦国時代と争いが絶えなかった中国をだ。それぞれの国同士で争い興亡が続いていたのだ。
「それでや」
「そうしたものを統一しましたか」
「言葉は一緒やったがそれぞれの国で文字も違ってた」
それが当時の中国であったのだ。
「それを一つにして貨幣や度量衡や道の幅もな」
「全て一つにしたのですね」
「そうした意味でも中国を統一した人や」
「起きた世界ではそうでしたか」
「色々やった人やが」
「その功績は事実ですね」
「凄い人物やったことは事実や」
史記での過酷極まりない法治は実は柔軟に行われていたという、ただ急激な政策の遂行と元々秦への反感が強かったことが彼の死後の秦の滅亡につながった様だ。
「その始皇帝のしたことをせんで済むのはな」
「いいですか」
「楽やな、そうしたことも頭に入れて」
言語等が一つであることもというのだ。
「ことを進めてくか」
「そうしてくれますか」
「そうするわ、出来る限りのことをしてな」
こう言ってだ、残はまた麺をすすった。そして午後はまた働くのだった。
第二百二十三話 完
2021・8・23
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