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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百十一話 怪物達、また騒動を起こすのことその十一

「せめてここで見守りますわ」
「そうされますか」
「残られるんですね」
「兵達と民達は安全な場所にまで避難させなさい」
 こうだ。顔良と文醜に告げた。そのうえでだ。
 己の席に座ったままでだ。言うのだった。
「最後の最後までここにいますわ」
「わかりました。では」
「あたい達も皆を逃がしてここに残ります」
 彼女達も覚悟を決めていた。こうしてだった。
 兵達と民達を逃がした劉備達は見守る。何が起こるのかを。
 その貂蝉と卑弥呼がだ。遂に言った。
「では歌うわよ」
「あたし達の歌を」
「全員耳栓をしろ!」
 その話を聞いてだ。関羽が即座に叫んだ。
「死ぬな。最後まで耐えよ!」
「あたし達の美唱を聴くと悶え死ぬわよ」
「さあ、死になさい」
 妖怪達だけが言いだ。そうしてだった。
 彼女達は歌った。その歌がはじまると。
 これまでにない大爆発が舞台はおろか観客席でも次々に起こり。
 そして嵐が起き雷が次々と落ち。地震になり。
 吹雪が荒れ狂いだ。あらゆる天変地異が起こった。それが歌の間続き。
 歌い終わった時、最早そこに立っている者はいなかった。
 死屍累々たるその惨状を見てだ。妖怪達は満足した笑みを浮かべて言うのだった。
「あたし達って罪よね」
「そうよね」
 その破壊に満足している言葉ではなかった。
「歌で魅了されて皆気を失って」
「倒れるなんて」
「もう悶絶って感じよね」
「本当に罪だわ。あたし達って」
 こう認識しているのだった。
「もう自分の歌に卒倒しようよ」
「あまりにも素晴らしくて」
 こう言うのだった。そして。
 彼女達はだ。空を飛んだ。そうして何処かへと消え去っていた。
「また会いましょう」
「会うべき時にね」
「二度と来るな!」
 その彼女達に叫んだのはジャックだった。
「手前等何だったんだ!」
「よせ、もう聞こえないぞ」
 ジョンがそのジャックに言う。彼女達が消えたその空を二人で見て。
 もう空は奇麗になっていた。それまでの嵐や雷、吹雪が嘘の様に。
 その青空を見ながらだ。ジョンはジャックに言ったのである。
「何処かに消えちまった」
「ちっ、あいつ等本当に仙人か?」
「連中が言うにはそうだろうな」
「化け物だろ」
 ジャックは内心思っていることを今出した。
「絶対に」
「まあ仙人とは何か違うよな」
「どう見てもそうだろ」
 こんなことをだ。ジャックはジョンに言った。そうして。 
 皆何とか立ち上がりだ。黒焦げになった姿でそれぞれ言う。
「最後の最後でこうなるなんて」
「何てこった」
「とりあえずだけれど」
 劉備もだ。立ち上がりながら言った。
「皆今日はこれでお開きってことで」
「はい、では体力が戻ったら出陣です」
「そうしましょう」
 孔明と鳳統も言い。そうしてだった。
 とりあえず舞台が終わったことを確かめ合うのだった。何が何なのかわからないまま舞台は終わった。後に廃墟を残したうえで。


第百十一話   完


                       2011・9・17
 
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