ドリトル先生と幸せになる犬
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第十二幕その四
「もう社会的生活を営めない」
「それって本当に終わりだね」
「そう思われたら」
「法律でそう判断されたら」
「うん、禁治産者と認定されてね」
そうなってというのです。
「育児出来る能力も普通の仕事をする能力もない」
「もう何も出来ない」
「そうした人だって判断される」
「それじゃあだね」
「子供達も引き離されて」
「それでなのね」
「そう、もうお仕事も何もなくなってね」
子供達も子育て出来る能力がないから親権を放棄させられてです。
「何も出来なくなって社会的にもそう思われてね」
「生きた屍だね」
「そうなるんだね」
「もうこれからは」
「そうなるんだね」
「そしてね」
それでというのです。
「後はどうなるかわからないよ」
「禁治産者ね」
「僕達その言葉について詳しくないけれど」
「そう判断されたら終わるのはわかるよ」
「何も出来ない人だって」
「言うなら廃人だね」
先生はこの言葉も出しました。
「そうした人だね」
「ああ、廃人だね」
「もう社会的なことが一切出来ない」
「そうした人だね」
「禁治産者っていうのは」
「廃人は医学的だけれど」
そのうえでの認定だというのです。
「禁治産者は法的だよ」
「もう何も出来ない」
「確かに飼育放棄に育児放棄だと」
「社会的なことは出来ないね」
「一切ね」
「そうだよ、彼等は他にも色々そうしたことみたいだし」
このこともあってというのです。
「間違いなくね」
「今度の育児放棄で禁治産者と認定されて」
「赤ちゃん達の親でなくなって」
「もう後は何も出来ない」
「そのうえで残り人生を過ごしていくのね」
「それが彼等の命運だよ、そして亡くなったら」
人間の人生を終えたらというのです。
「餓鬼に生まれ変わるよ」
「既に餓鬼だからね」
「それじゃあ亡くなったらね」
「確かに餓鬼になるしかないね」
「餓鬼の一生は一万五千年っていうけれど」
先生はこのことは仏典で知りました、先生は日本語や中国語だけでなくサンスクリット語も読めるので仏教の学問にも秀でているのです。
「その一万五千年の間ね」
「ずっと餓えと渇きに苦しむんだ」
「物凄く長い間だけれど」
「その間ずっと苦しんで」
「そうして生きていくんだ」
「それが餓鬼になった人の末路だよ」
死んでからのことだというのです。
「だから仏教では戒められているんだ」
「浅ましくなってはいけない」
「餓鬼になってはいけない」
「そう教えられているんだね」
「仏教においては」
「そうだよ、仏教ではね」
まさにというのです。
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