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ドリトル先生と幸せになる犬

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第十二幕その二

「一人目はもうほったらかしにして」
「見向きもしなくなるですね」
「まだ一歳なのにミルクも碌にあげなくて」
「お風呂にも入れないで、ですか」
「ええ、おむつも一日一回適当に替えて拭きもしないで」
「酷いですね」
「部屋に寝かせたままで部屋も掃除してないそうです」
「完全な育児放棄ですね」
「旦那の方の会社の人が息子の働いているラーメン屋に通っていて」
 お客さんとしてです。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「息子に話してくれました」
「そうでしたか」
「掃除もしていない部屋でほったらかしで二人目ばかりです」
「おもちゃとしてですね」
「遊んでいます」
 先生に苦い顔でお話しました。
「二人でつきっきりで」
「そうですか、ではです」
「兄貴に話して」
 弁護士のお兄さんにというのです。
「すぐに動きます」
「お願いします、それとふわり」 
 先生はご主人とお話してから皆と遊んでいるふわりに声をかけました。
「ちょっといいかな」
「どうしたの?」
「うん、君は前のご家族に会った時に彼等を一目見たね」
 頭の上にクエスチョンマークを出したふわりに尋ねました。
「そうしたね」
「それですぐにパパのところに行ったわ」
「そうだね、君はあの時何を見たのかな」
「あの人達を見たの、そうしたらね」 
 もう前のママとパパとは言いません、ふわりも彼等が自分にとって家族では全くないことがわかったのです。
「昔の姿と違ったの」
「どんな姿だったかな」
「お肌はどす黒く濁っていてがさがさでね」
 そうしてというのです。
「物凄く痩せて目が淀んでいてお口からは腐った匂いがして髪の毛はボロボロの」
「そうした姿に見えたんだね」
「お化けみたいだったわ」
 ふわりはそう思ったのです。
「本当にね」
「それはあれだね」
「あれっていうと?」
「餓鬼だよ、まさにね」 
 その存在だというのです。
「それはね」
「そうなのね」
「彼等はやっぱり餓鬼になっていたんだ」
 あまりにも心が浅ましくてそうなっていたというのです。
「人でなくね」
「そうだったの」
「うん、もう彼等のことはどうでもいいね」
「私のお家はここだし家族はパパとママとお兄ちゃんよ」
 ふわりはきらきらとした目で答えました。
「誰でもないわ」
「そうだね、じゃあね」
「これからはなのね」
「ここでずっと幸せに暮らすんだよ」
「そうするわね」
「ふわりは何時までも俺達の娘ですよ」
 ご主人も言いました。
「何があっても」
「はい、ですが何かあった時は何時でも呼んで下さい」
 先生は約束するご主人に約束しました。
「僕が出来ることで」
「助けてくれますか」
「そうさせてもらいます」
「そうですか、それじゃあ」
「はい、その時は」 
 先生は笑顔で応えました、そうしてでした。 
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