八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百三十五話 お化け屋敷の次はその五
「絶対に騙したり後ろから攻めてるから」
「火を点けることも」
「仲よくしようって近付いて」
そうしてだ。
「後ろから火を点けるなんてね」
「確かに陰湿で卑劣ね」
「それに相当残虐だよ」
考えれば考える程だ。
「しかも寝込んでいる時に来て」
「また騙してね」
「火傷の跡に辛子塗るから」
「滅茶苦茶痛そうね」
「実際に狸苦しんだし」
もう地獄の苦しみだったのがどの絵本でもわかる。
「飛び上がらんばかりにね」
「しつこい位ね」
「普通後ろ向いたら」
その時点でだ。
「時代劇とかだとばっさりだよね」
「正々堂々とした人なら正面からね」
「仕事人でもそこまでしないし」
殺す時はあっさりしている。
「火を点ける時点で相当で」
「辛子も塗って」
それでさらに苦しめてだ。
「さらにね」
「泥舟よね」
「それに騙して乗せて」
ここでも騙す。
「それで沈んで溺れるところを」
「助けるふりして逆に海に追いやって」
「それで殺すから」
「物凄い残虐さね」
「これが太宰の作品だとね」
太宰の御伽草紙だとだ。
「余計に酷いんだ」
「そうなの」
「だって兎が美少女で」
そうしてだ。
「狸が中年の不細工な男の人で」
「お婆さんを殺していても?」
「もう執拗にね」
童話の通りにだ。
「責めてそうしてね」
「殺すのね」
「最後惚れたが悪いかだから」
狸の今際の言葉はだ。
「だからね」
「狸可哀想過ぎるわね」
「知ってる人で同じ様な目に遭った人知ってるから」
それも八条学園の人だ。
「告白して振られて」
「そうした目に遭ったの」
「命はあるけれど」
それでもだ。
「振った方がね」
「その兎みたいになの」
「もう徹底してね」
「残酷だったの」
「この話僕も知ってるんだ」
学園の中で知っている人は知っている話だ。
「普通振るでも御免なさいだよね」
「それで終わりね」
「それがもうね」
「その兎みたいに」
「太ってるのは嫌とか言って」
「それだけで?」
「そう、それだけでね」
まさにその理由だけでだ。
「徹底的にね」
「告白した人に酷いことしたのね」
「そうだったんだ」
「お断りだけでいいのに」
「何が気に入らないのか」
僕もそれが不思議だけれどだ。
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