八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百三十五話 お化け屋敷の次はその四
「子供達を助けるけれど」
「そこでお腹切るから」
「かなり残酷だよ」
「それだけでね」
「しかもね」
香織さんにさらに話した。
「その後縫って」
「石を中に入れて」
「それで狼がお水飲んだ時に石の重さ沈んで死ぬ様にしたから」
「怖いわね」
「物凄くね、他にも怖い童話あるよ」
原典だとだ。
「シンデレラにしても」
「あれも最後酷いわね」
「継母とお姉さん達烏に目をつばまれるから」
これまでシンデレラをいじめた報いでだ。
「怖いよ」
「子供の頃読んだ絵本だと反省して仲直りしてたのに」
「原典はそうだからね」
「お化け屋敷に出てもおかしくないわね」
「宮沢賢治の童話も」
子供の教育に非常にいいと思うけれどだ。
「これもね」
「残酷?」
「やたら死ぬからね」
グルコープドリの伝記にしてもだ。
「あの人の作品も。ただ残酷さはね」
「あるわよね」
「フランドル農学校の豚はね」
この作品は童話ではないにしてもだ。
「もう淡々と食べられる豚のお話で」
「その意味で残酷なのね」
「命について考えた作品で」
そうした意味で非常に素晴らしい作品だ。
「宮沢賢治の考えもね」
「出ているのね」
「物凄く素晴らしい人だって」
その人間性がだ。
「わかる作品だけれど」
「食べられる家畜のお話だから」
「残酷だよ。そして以上にね」
宮沢賢治の作品はだ。
「悲しいね」
「そういえばそんな作品が」
「多いよね」
「何処かね」
香織さんもこう言った。
「そういえば」
「香織さんも読んだんだね」
「宮沢賢治の作品は皆結構読むでしょ」
「教科書にも出るし」
小学校の国語のそれにもだ。
「図書館でも置いてるしね」
「もう定番よね」
「子供が読むのにいいからね」
大人が読んでもいいと思う、そうした素晴らしい作品ばかりだ。
「あの人の作品は」
「そうよね」
「けれどね」
それでもだ。
「悲しいんだよね」
「誰かが死ぬから」
「うん、ただ残酷さは」
このことはだ。
「そうした童話よりずっとましかな」
「かちかち山とかよりも」
「遥かにね」
考えてみるとだ。
「かちかち山って悪を成敗する以上のものがあるから」
「あの兎には」
「そこまでするかってね」
もうそう思わせるまでにだ。
「無慈悲で執念深くて残虐だから」
「傍にいて欲しくないわね」
「卑劣で陰湿だしね」
あの兎にはこうした性質もあると思う。
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