夢幻水滸伝
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第二百十四話 カーペンタリア湾海戦その十二
「完全勝利はなく」
「武田信玄さんは六分とか七分でええとか言うてたな」
今自分達が起きた世界でいる国の歴史上の人物の言葉も思い出した。
「そやったな」
「はい、そして引き分けもです」
「あるな」
「信玄さんも引き分けてますし」
「川中島とか小田原でな」
「そう思いますと」
「引き受けも受け入れてやな」
モレイの言葉を受け入れつつ述べた。
「そうしてやな」
「ことを進めていきましょう」
「そしてそのことの進め方は」
「戦は一戦でと約束しましたし」
「後は話やな」
「それで決めましょう」
「そやな、ほな使者を送って」
シェリルはあらためて言った。
「そしてな」
「お話をしますね」
「そうするな」
こう言って実際にだった。
シェリルは翌朝日の出と共に東南アジアの艦隊の方に使者を送った、そうして彼等に会談を申し入れると。
リーは仲間達と共に使者の言葉を聞いてこう使者に答えた。
「わかったわ」
「それでは」
「その申し出うけさせてもらうで」
使者に微笑んで述べた。
「是非な」
「これからですね」
「話をしてな」
そしてというのだ。
「ことを決めようか」
「それではそのことを」
「シェリルさん達に伝えてくれるか」
「その様に」
羊人の使者は畏まって応えた、そうしてだった。ここでリーは会談場所について尋ねた。
「それで話をする場所は何処にするか」
「そのことですね」
「シェリルさんは言うてへんか」
「今はまだ」
「ほなここで話そか」
「カーペンタリア湾内で、ですか」
「船の上でな」
そこでというのだ。
「話をしよか」
「海の上で」
「空船でもええけどな」
会談を行う場所はというのだ。
「そやけど今お互い船の上におるさかいな」
「それで、ですか」
「もう船の上でな」
「会談をしますか」
「それでどないや」
こう提案するのだった。
「ここは」
「そうですね、ではそのことも」
「シェリルさんに伝えてくれるか」
「そうさせて頂きます」
使者も頷いて応えてだった。
シェリル達のところに戻ってリーの話を伝えた、するとシェリルは笑顔で応えた。
「ほな湾の真ん中でや」
「そこで、ですか」
「お互いの旗艦を出してな」
「そのうえで、ですね」
「接舷してお互い顔を見合わせて」
そうしてというのだ。
「会談しようか」
「そうされますか」
「これやと対等の立場やろ」
「接舷してそれぞれの船の上で向かい合うなら」
「それならな、ほなな」
「その様にしてですね」
「会談をしような」
こう言うのだった。
「これでどないや」
「それでは」
「戦は終わった、しかしな」
それでもとだ、シェリルは言った。
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