夢幻水滸伝
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第二百十四話 カーペンタリア湾海戦その十一
「引き分けや」
「そうですね」
「この一戦で決める話やったが」
「そこで引き分けですと」
「もうな」
「はい、そのことを前提として」
そうしてというのだ。
「お話をして」
「そうしてやな」
「我々はどうべきかもです」
このこともというのだ。
「決めましょう」
「そうすべきか」
「どうでしょうか」
「そやな、一戦で決めると言ってな」
「その一戦が引き分けですし」
「それやとな」
「もう講和をして」
そしてというのだ。
「これからのことを考えるべきかと」
「そうか、ほなな」
シェリルはダーガーの話をここまで聞いてだった。
頷いてだ、あらためて話した。
「よし、あちらに使者を送る」
「そうしますか」
「そしてや」
そのうえでというのだ。
「話をしようと申し出る」
「そうしてですね」
「相手が会談に応じたら」
そうしたらというのだ。
「もうな」
「それで、ですね」
「ええとするか」
「そうされますか」
「そうするわ、それでな」
シェリルはさらに言った。
「決めようか、引き分けになるつもりはなかったが」
「戦ならやっぱりありますで」
「勝敗がはっきりせんことも」
「世の中は複雑なものですさかい」
「引き分けも多いもんです」
傭兵の四人が言ってきた。
「そやからです」
「こうした場合はどうするか」
「それも大事ですわ」
「話し合いで決めるならそうしましょ」
「何でもはっきりするもんやない」
シェリルは腕を組んでこうも言った。
「むしろな」
「はっきりせんことの方が多いですね」
「特に政では」
「もう白とか黒とかやなくて」
「灰色が多いですね」
「その灰色の中の白と黒の度合いがどんな具合か」
それが白に近いか黒に近いかというのだ。
「それが問題やな」
「そうですね」
「真っ白や真っ黒は滅多にないです」
「というか完全に白黒つけようとしたら」
「悪くなります」
「そやな、何かを完全に排除しようとしたり」
完全にはっきりとさせようとすると、とだ。シェリルは政そしてそれを形成している世の中のことを考えて述べた。
「消し去ろうとなるな」
「それ極端に言うとナチスですね」
モレイは自分達が起きた世界で今も批判されるその政権の名前を出した。
「それかソ連か」
「ああした国になるな」
「完全に白黒つけようとしますと」
「極端になるとな」
「そうしてかえってです」
「碌でもないものになるな」
「戦もですね」
モレイは今の話もした。
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