夢幻水滸伝
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第二百十四話 カーペンタリア湾海戦その三
「攻めますね」
「そうするで」
「では作戦通りに」
「ことを進めましょう」
「ほなな、ではまずは敵艦隊が完全に湾に入ってな」
「そうしてですね」
「そや」
そうしてというのだ。
「湾の真ん中に入ったところで」
「湾の出入り口に機雷を撒きますね」
「そうして塞ぐ」
その様にするというのだ。
「そうして袋の鼠にして」
「囲んで倒しますね」
「そうするで」
「ほなその時は」
瑠璃子が言ってきた、今オセアニアの星の者達助っ人の面々も含めて彼等はシェリルの乗艦であるオセアニア水軍の旗艦キャンベラの会議室に集まっているのだ。
「うち等四人さっと言ってぱぱっと撒くんですね」
「そうしてもらうで」
「ほなそうさせてもらいます」
「是非な、ただその喋り方はな」
シェリルは瑠璃子のそれを指摘した。
「ちょっとな」
「あきません?」
「何処の元プロ野球選手や」
脳裏に太い眉と濃い髭の剃り跡の背番号三の人を浮かべながら言った。
「一体」
「ああ、長嶋さんですね」
由香はそれが誰かすぐに察した。
「あの人ですね」
「そや、あの人や」
「やっぱりそうですね」
「あの人の説明はこうですね」
紗枝も言ってきた。
「ガーーーッとやってピャーーーッといくって」
「まさにそれやな」
「凄い説明ですね」
「まああの人はああいう人でして」
雅美も笑顔で話に入ってきた。
「もう個性になってますね」
「その長嶋さんみたいに言うのはな」
「いや、うち等わかりますから」
「わかるんか」
シェリルは雅美の今の言葉に思わず本当かと言う顔になって返した。
「これで」
「わらわもわかるわ」
碧も笑顔で言ってきた。
「四人共説明はこんなのじゃがな」
「どうしておわかりになられますか」
バイデは笑顔の碧に思わず聞き返した。
「効果音だけの説明で」
「感覚でな」
「それで、ですか」
「というかこの四人の説明は時々こうなるだけでじゃ」
そしてというのだ。
「しかも長嶋さんに比べて遥かにわかりやすいからのう」
「そやからですか」
「わかるわ」
こうバイテに話した。
「わらわにも」
「そうですか」
「よくのう」
「まあ兎に角機雷を撒いて」
グレイカスは作戦の話に戻した。
「そうしてですね」
「そや、敵を逃げにくくしてな」
「湾内にいるこちらの水軍で敵軍を囲んで」
「湾の上空に待機させてる空船の艦隊も展開させてな」
「包囲殲滅ですね」
「そうしてもらうで、自分にもな」
シェリルはグレイカス自身にも話した。
「これまでその神具で偵察を頑張ってもらったが」
「これからもですね」
「空を歩いて駆けてな」
ロキの靴は何処でもそうしたことが出来る、水の上でも中でも地中でもである。そしてそれは空でもなのだ。
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