| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百八話 怪物達、世界を語るのことその一

                           第百八話  怪物達、世界を語るのこと
 宮廷での司馬尉達との対峙の後にすぐだ。劉備達は。
 司馬尉の屋敷に兵をやりだ。あらゆるものを押さえにかかった。しかしだ。
 そこにあったものは。何もなかった。
「くっ、既にか」
「全て消しているか」
 甘寧と太史慈がその宮殿の如き豪奢な宮殿の中で言う。
「人一人いないとはな」
「消えた時に同時にか」
「証拠になるものも何もないな」
 黄蓋も言う。
「やってくれおるわ」
「そうですね。これではです」
 諸葛勤もいる。そして彼女も屋敷の中を見回りながら話す。
「彼女達が何処に逃げたのかもわかりません」
「それが問題ですね」
 呂蒙もこの状況には困った顔でいる。
「一体何処に逃げ去ったのか」
「この国の中にいればいいがな」
 今言ったのは魏延だ。
「国の外に逃げたとなると厄介だな」
「それは考えられますね」
 呂蒙は魏延のその言葉にこう返した。
「彼等はどんな場所でも自由自在に行ける様ですし」
「あの渦の中に入ってだな」
「はい、それで」
 まさにそれだとだ。呂蒙は魏延に話す。
「ですから。国の外に出てそこで力を蓄えてまた攻められるとなると」
「厄介なことになるな」
「例えばですが」
 諸葛勤は危惧する顔で話した。
「羅馬、大秦ですね」
「西にあるあの大国か」
「あの国を乗っ取ってそれで攻めて来るとなると」
「他には波斯という国もあります」
 呂蒙は羅馬の宿敵であるその国の名前を出す。
「その国もかなりの力がありますし」
「そうした国から攻めて来れば厄介だな」
「そう思います」
「非常に」
 孫策の軍師二人が魏延に話す。しかしここでだ。
 黄蓋はだ。この国の名を出した。
「それよりも匈奴じゃ」
「あの国ですか」
「北の」
「匈奴の強さは大秦や波斯の比ではない」
 匈奴は民全員が馬に乗り戦うことができる。そして生まれついてそうしてきている。まさに国の全てが軍と言っていい国なのだ。
 その国をだ。司馬尉達が使えばというのだ。
「漢に近いしそれを考えればじゃ」
「匈奴が最も危ういか」
「わしはそう思う」
 黄蓋は魏延にも話した。
「どちらにしても用心が必要じゃな」
「そうか。しかし何もないな」
 魏延も屋敷の中を見回しだ。そして言ったのだった。
「宝も何も残してはいないか」
「本当に全て持ち去ってしまいましたね」
「驚くだけ早く」
 諸葛勤と呂蒙は感嘆すらしている。
「司馬尉仲達、その術も頭も」
「恐ろしいものがありますね」
 結局だ。司馬尉の側近達も何処に行ったかといった様な手掛かりも全く見つからなかった。彼等は仕方なく屋敷を去るしかなかった。
 その話を聞いてだ。劉備は己の机で眉を曇らせて言った。
「そう。何もなのね」
「予想はしていましたけれど早いですね」
「消え去るのが」
 彼女の両脇にいる孔明と鳳統も主と同じ顔になって言う。
「早く見つけ出して何とかしたいですけれど」
「難しいみたいですね」
「何処に消えたのかしら」
 劉備もこのことが気になって仕方がなかった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧