八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十七話 お餅つきから帰ってその七
「やはりです」
「人は自分を至らないと思う」
「だからよりよくなろう」
「そう思うからこそですね」
「成長してです」
そしてというのだ。
「よくなります」
「そうしたものですね」
「これは社会も文明もです」
「至らないですね」
「よりよくなろうと思い」
「進歩していく」
「そうです、そして人も社会も文明も」
この世の全てのものはというのだ。
「その成長はです」
「無限ですね」
「上には上があり」
「果てしないですね」
「もう十分と思っても」
それでもというのだ。
「まだ遥かにです」
「先がありますね」
「まさに果てしないので」
「至らないと思うことがですね」
「私は人にとってはいいと思います」
「そこは難しいですね」
「左様ですね。ですが自分がそう思うことは」
このことはというと。
「辛いですね」
「ですね、悔しいですね」
「自分に腹立たしさをです」
「感じますね」
「そうです、剣術にしましても」
こちらのことでもというのだ。
「八歳より続けていますが」
「それでもですか」
「まだまだです」
「免許皆伝でもですね」
「免許皆伝で終わりではないですから」
「まだ先があってですか」
「やはり果てしないですから」
剣術、剣道と言っていいこちらのこともというのだ。
「ですから」
「至らないとですか」
「今も思います」
「極めるといっても」
「極めきることはです」
今話しているこのことはというのだ。
「人ではです」
「無理ですか」
「そう思います、これはです」
「人にはですか」
「至らないでしょう」
「果てしないので」
「しかも人には寿命があります」
人のこのことも話してくれた。
「やがてはです」
「誰もが死にますね」
「極める前に」
「そうなりますね」
「葛飾北斎もでしたね」
「あの人もそういえば」
「九十でしたが」
亡くなったのはだ。
「その時にあと十年あれば」
「本物の画家になれたとですね」
「言っていましたね」
「当時で九十は」
それこそだ。
「凄いですよね」
「平均寿命は極めて短かったです」
「二十代とか三十代で」
「乳幼児の死亡率が高かったですし」
当時の平均寿命の短さはこれが一番大きかった、戦前まで子供が死ぬなんてことは本当にいつものことだった。
「十五歳までに死ぬ人は」
「多かったですね」
「昨日元気だった子供が」
「今日死ぬとかも」
「よくありました」
「はしかもありましたしね」
このこともあってだ。
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