夢幻水滸伝
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第二百十話 マレー沖の海戦その十二
「今の状況が精一杯や」
「敵の中央、こちらから見て右手の軍も来ています」
「このままでは囲まれます」
「よくて挟み撃ちかと」
「そやな、最初から劣勢はわかってたが」
それでもだ、リサールは述べた。
「けどな」
「それでもですね」
「予想以上ですね」
「このやられ方は」
「これがリーさんってことやな」
リサールは今度は苦い顔で述べた。
「まさに」
「そうですね」
「これがあの方ですね」
「見事な采配とお力です」
「隙がありません」
「四智星で術と獣の使い方はシェリルさん」
リサールはここでその彼等の話をした。
「経験とセンスは芥川さん」
「そして総合でターリヤ様」
「知識と教養はリー様ですね」
「そのリーさんがな」
まさにその彼がというのだ。
「相手や、そして神星に対せるのは神星というが」
「そのことを実感しますね」
「まさに」
「この状況は」
「左様ですね」
「ほんまにや」
実際にというのだ。
「今はな」
「左様ですね」
「この状況は厄介ですね」
「そのリー様がお相手ですから」
「全くや、しかしここはな」
是非にとだ、彼は言った。
「最後まで戦う、そしてな」
「その中で、ですか」
「一矢報いますか」
「そうしますか」
「そうしたる、このまま戦う」
こう言ってだった。
リサールは降伏は考えず戦い続けた、それはテレサも同じで指揮を執りつつそのうえで周囲に言った。
「最後まで戦うで」
「そうしますね」
「そして意地を見せて」
「そのうえで戦いますね」
「降伏したモンは降伏せえ」
テレサは周囲にこうも言った。
「しかしな」
「戦いたいならですね」
「共に戦え」
「そうせよというのですね」
「そうや」
こう言うのだった。
「ええな、この戦でもリーさんにしてやられてるが」
「それでもですね」
「まだ戦い」
「そして意地を見せますね」
「そうして一矢報いる、状況的に一騎打ちは無理やが」
采配そして術で艦隊を護るのに全力を尽くしている、この状況で一騎打ちを行うのは無理なのは明らかだった。
「しかしな」
「それでもですね」
「このまま戦いますね」
「そうしますね」
「そや」
まさにというのだ。
「最後までな」
「そうして意地を見せますね」
「我等の意地を」
「そうしますね」
「そうするで」
こう言ってだった。
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