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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十七話 お餅つきから帰ってその三

「政治や経済、国際情勢の本も読むといいですが」
「哲学書はですか」
「読んでいません、八条家の方でも哲学については」
「そうした本読む人いないですね」 
 実際にだ。
「海外文学に詳しい人も多いですが」
「それも原文で読まれてですね」
「それでも」
 八条学文学部にも哲学科があるけれどだ。
「どうも」
「そうです、わかりやすい哲学書ならいいですが」
「わからないとですね」
「もう時間をかけて読むよりも」
 その哲学書をというのだ。
「わかりやすい小説を何冊も読まれることです」
「その方がいいですね」
「遥かに」
「やっぱりそうですね」
「そして吉本隆明は」
「特にですね」
「私はあの人をずっと見てきました」
 そうだったというのだ。
「世に出てから亡くなるまで」
「だから言えますか」
「何を書いているかわからない時は教祖になれました」
「ああ、難しい文章を読んで内容を理解出来た自分は偉い、頭がいいとですね」
「読んだ人に錯覚させて」
 それでというのだ。
「そうなれましたが誰でもわかる文章を書ける様になると」
「そうなるとですか」
「只の思想家になり挙句に」
「カルト教団の教祖を絶賛しましたか」
「そうなりました」
「つまり中身はその辺りの子供以下ですね」 
 僕にはそうとしか思えなかった。
「吉本隆明は」
「その通りです、私もそう考えています」
「やっぱりそうですか」
「子供でもあのカルト教団のことはわかります」
「当時もですね」
「子供の方が学者よりもわかっていました」 
 あの教団がテロを起こして世の中が大騒ぎになっていた時はというのだ。
「あの教団はおかしい、嘘を吐いていると」
「子供の方が真実わかっていたんですね」
「テレビに出て喋っている学者よりも。そして」
「吉本隆明よりも」
「戦後最大の思想家は子供以下でした」
 そうだったというのだ。
「まさに」
「そうだったんですね」
「そんな人の本を読むよりも」
「小説ですね」
「最近流行のライトノベルもとてもいいかと」
「純文学だけでなく」
 三島由紀夫だけでなくというのだ、司馬遼太郎や宮沢賢治も今だとこちらに分類されると考えていいだろうか。
「こちらも。そして漫画も」
「読んでいいですか」
「はい、少なくとも吉本隆明なぞ読むよりも」
「遥かにためになりますね」
「そうです」
 実際にというのだ。
「事実手塚治虫や藤子不二雄は哲学的主張もです」
「吉本隆明よりもですか」
「中身がありわかりやすいです」
「戦後最大の思想家よりも」
「むしろ戦後最大の思想家があの程度です」
「そのことが問題ですね」
「あの程度で戦後最大の思想家だったのです」
 よくわからない文章を書いてカルト教団の教祖を絶賛する様な人がだ。 
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