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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十七話 お餅つきから帰ってその四

「そのことこそ深刻な問題です」
「そうなりますね」
「そして漫画や小説がです」
「思想家を遥かに超えたんですね」
「哲学書も」
「それが現実ですか」
「戦後日本の」
 一九四五年以降のというのだ。
「そうだったのです」
「戦後日本の知性の低さですね」
「それが出ているかと。少なくとも思想家そして学者は」
「レベルが低いですか」
「マルクス主義の存在もあり」
 今度は所謂共産主義も話に出た。
「一九四五年を境として」
「終戦ですか」
「本当に急にです」
「悪くなったんですか」
「はい、復員して驚きました」 
 僕にこうも話してくれた。
「まことに」
「急に悪くなっていたんですか」
「新聞を読めばスターリンが礼賛されていました」
「あの独裁者が」
「それまでは敵だったのが」
 それがというのだ。
「急にです」
「礼賛ですか」
「そしてマルクス主義も」
「礼賛されて」
「日本は共産革命が起こるべきとさえです」
「言われていたんですね」
「そしてマルクス主義、ソ連は常に正しい」
 そうしたというのだ。
「主張が大手を振って歩いていました」
「それでソ連の行いはですね」
「ハンガリー動乱もプラハの春もです」
「武力で鎮圧しましたよね」
「それは擁護されソ連は平和勢力とさえです」
「ああ、言われてたんですね」
 僕もこのことは知っている、そのうえで畑中さんに応えた。
「ずっと」
「そうでした、バルト三国併合もフィンランド侵攻も」
「正当化されたんですか」
「そして満州のことも」
 あのソ連が終戦間際に攻め込んできたそれもというのだ。
「無視されるかです」
「擁護されたんですね」
「そうなっていました」
「かなりの民間人が殺されたんですが」
 その『平和勢力』にだ。
「それでもですか」
「そうされました」
「よく満州にいた人が怒り狂わなかったですね」
「私も当時そう思いました」
「今じゃネットで大騒ぎですね」
 そうならない筈がない。
「それこそ」
「左様ですね」
「もうそんなことをしたら」
「今はそうなります」
「間違いなく」
「そしてスターリンにはじまり毛沢東、金日成と」
 独裁者の名前が続いた。
「そしてベトナム戦争でも北朝鮮への発言や礼賛も」
「同じことをですか」
「繰り返しました、経済や教育、法学、歴史は特に酷く」
「マルクス主義が幅を利かして」
「これ以上はないまでに腐敗し」
 そうしてというのだ。
「それが今に至るまでです」
「続いてるんですね」
「そんな中なので」
「吉本隆明もですね」
「彼がマルクス主義とは距離を置いていましたが」
 それでもというのだ。 
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