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夢幻水滸伝

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第二百七話 同盟という選択その十

「ほんまにな」
「左様ですね」
「カイ君もそやろ」
「そうですね。僕もこれといってです」 
 実際にとだ、カイも答えた。
「野心というものはです」
「ないやろ」
「自分でそう思っています」
「そやな」
「はい、実際に」
「ベトナム人やしな」
「この世界でも」 
 カイはズーに微笑んで答えた。
「そうですさかい」
「そやね」
「飲んで食べてしかも平和で豊か」
「それやったら最高や」
「それだけで」
「そしてこの世界を救えて」
 ここで言ったのはリサールだった。
「平和と繁栄がずっと続くことになったら」
「それは最高やね」
 ズーはリサールのその言葉に笑顔で応えた。
「まさに」
「そうやな、グエン先輩も」
「ズーでええで」
「ほなズー先輩ということで」
「私等は仲間やからな」 
 それ故にとだ、ズーは笑って返した。そうしてさらに言った。
「それでや」
「姓ではなく名前で」
「呼んでええで。それであたくし様としても」
「やっぱりこの世界を救いたいか」
「その為にこっちの世界にも顔出してるしな」
 それだけにというのだ。
「そうしたいわ」
「そうやな」
「ただこれからどないするか」
 ズーは生春巻きを食べてそれからベトナムの強い地酒を飲んでから述べた。
「そのことはな」
「具体的にはやな」
 テレサが応えた。
「考えてへんか」
「まだな、ただな」
 それでもとだ、ズーは自分と同じ酒を飲んでいるテレサに笑って返した。
「一国だけやとあかん」
「そう思ってやな」
「今この場におるんや」
「そやな」
「自分等と同じ考えや」
「そうか、ほな同盟は」
「是非な」 
 テレサに笑って返した。
「結びたい」
「そうか、そしてやな」
「リーさん達とどうしてくか」
「考えるんやな」
「一国より二国でな」
「二人よりやな」
「四人やろ、四人で考えていった方がな」
 ズーはさらに話した。
「ええ答えが出るやろ」
「そやな、ただな」
 テレサはズーの今の言葉には頷いた、しかしそれで終わらず今度はビーフンを食べてそうして言った。
「そうなるには条件がある」
「まとまってることやな」
「仲の悪いモン同士話をしてもな」 
 そうしてもというのだ。
「それでもな」
「ええ答えは出ん」
「喧嘩になるだけや」
「まさにその通りや」
 ズーはテレサに笑って返した。 
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