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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十三話 お餅つきその六

「破滅型でね」
「親父は違いますね」
「傾いているのよ」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「そこはまた違うのよ」
「破滅型と傾奇者は」
「前田慶次さん天寿全うしてるでしょ」
「結構長く生きてますね」
「当時としては結構な六十過ぎまでね」
「そうでしたね」
 大坂の陣の頃には亡くなっていたけれどだ。
「あの人も」
「止君もそっちよ」
「破滅型でなくて傾奇者で」
「生きている限りね」
 まさにその限りというのだ。
「だからいいのよ」
「そうですか」
「そうよ、本当に大事なものは全部持っていて」
「間違ったことはしないからですか」
「それならやんちゃならでもなのよ」
 要するに遊び人でもというのだ。
「いいのよ」
「人間はそうなんですね」
「義和君に暴力振るったこともないでしょ」
「はい、一度も」
 記憶に全くないことの一つだ。
「怒ったことはあっても」
「それは義和君が悪い時ね」
「ええ、子供の時のことで」
 その時はやっぱり善悪がわからない、ことの善悪も生きていて学んでそうしてわかってくるものだ。
「それで暴力はです」
「ないでしょ」
「親父が言うには暴力は小さな力で」
 所詮人を傷付けられるだけだと言っている。
「それに頼っても何にもならないって言ってます」
「その通りよ、暴力で人を怖がらせてもね」
「それ以上じゃないですね」
「そうよ、それしかなくて」
「何でもない力だって言ってました」
「それで実際によね」
「誰にも暴力は振るわないです」
 僕やお袋だけでなくだ。
「何があっても」
「そのこともいいことでね」
「あと遊ぶ相手も弁えていて」
「それでご家族も忘れてないわね」
「いつも絶対家に帰ってました」
 一緒に暮らしている時はだ。
「そうしていました」
「そうした子だからね」
「子、ですから」
「私から見ればね」
 年上の人としての視線での言葉だとわかった。
「そうよ」
「そうですか」
「そう、それで子供の頃からなのよ」
「親父はああですか」
「そう、やんちゃでもね」
「間違ったことはしないで」
「ちゃんと人の道を歩いているのよ」
 それが親父だというのだ。
「傾奇者としてね」
「間違っても不良じゃないんですね」
「そう、不良とも違ってヤクザ屋さんともね」
 こうした人達ともというのだ。
「違うのよ」
「そうですか」
「そしてね」
 それでというのだ。
「外道でもないわ」
「外道ですか」
「言うなら餓鬼道に堕ちた」
「ああ、そうした人いますね」
「いるでしょ、外見は人間でもね」
「心が腐り果てていて」
 実際にこうした人達もいる、本当に酷い人達が。 
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