八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三百二十三話 お餅つきその七
「もうそれこそ」
「そう、人からね」
「餓鬼になっていて」
「外道になり果てている人がですね」
「いてね」
そしてというのだ。
「そうした人達はもうどうしようもなくて」
「何をしてもですね」
「救われないけれど」
それでもというのだ。
「そうした人達ともね」
「親父は違いますね」
「心が餓鬼になるともうその人生ではどうしようもないのよ」
「どんなことをしても救われないですね」
「そう、どんな宗教でも哲学でもね」
どれだけ立派な教えや考えを聞いてもというのだ。
「堕ちる一方で」
「それでなんですね」
「死ぬまでそうで」
人間としての一生を終えてというのだ。
「死んでからね」
「餓鬼に生まれ変わって」
「そこでずっと苦しんでね」
餓鬼は常に餓えと渇きに苦しんでいる、お腹の中の色々な虫に攻撃され火まで怒ってそのことでも苦しむのだ。
「一万五千年生きて」
「やっとそれで悔い改めますか」
「それが出来たらいいわよ」
「その餓鬼の生で」
「六道の何処に生まれるかはね」
「その時の一生次第でしたね」
「そこで反省して悔い改めないなら」
餓鬼になってもというのだ。
「また餓鬼になるかもね」
「それは嫌ですね」
「けれどそれが魂の輪廻よ」
「行いが悪いとですか」
例え餓鬼道に堕ちてもだ。
「また餓鬼に生まれ変わりますか」
「ええ、地獄に堕ちるかね」
「そうですか、けれど餓鬼になるなら」
僕が今思うにだ。
「地獄の方がましかも知れないですね」
「そこは難しいわね」
「どっちがましかは」
「ええ、私もそう思うわ」
「そうですか」
「それで餓鬼になった人はそうでね」
どうしても救われなくてだ。
「貴方のお父さんはよ」
「やんちゃなだけで」
「そうでもないから」
餓鬼道に堕ちた外道と言うべき人達ともというのだ。
「皆何だかんだ言っても」
「好いてくれているんですね」
「そうよ。不平不満も言わないでしょ」
「明るいことばかり言いますね」
このことも事実だ。
「いつも」
「そのこともいいのよ」
「そうですか」
「恩義は忘れないで」
それでというのだ。
「そのことに感謝の言葉を言って不平は言わないでしょ」
「それもないですね」
親父の場合はだ。
「本当に」
「それでこのこともよ」
「いいんですね」
「そうよ、感謝しないで不平不満ばかりでも餓鬼になるわよ」
どうもこの人は餓鬼が嫌いみたいだ、このことがここでわかった。とにかく悪いことイコールそれと言うのだから。
「心がさもしくなってね」
「それで、ですね」
「不平不満を言うのはね」
それは何故かというと。
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