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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百二十三話 お餅つきその三

 総員でお餅つきをしていた、僕がそこに来ると親父の一番上のお兄さんで普段はシカゴの自動車工場の責任者をしている義康さんが言ってきた。顔は親父に似ているけれどもっと年齢を重ねていて重厚な感じだ。
「義和君来たか」
「はい、今年も」
「皆来ているからな」
「来られる人はですね」
「多少無理でもな」 
 それでもというのだ。
「それ以上に無理をしてな」
「戻って来て」
「それで餅ついてるからな」
「八条家の伝統行事だからね」
 このお餅つきはだ。
「昔からの」
「維新からな」
「そうだよね」
「それで天理教の信者さんになってからな」
 明治の頃のことだ、教祖様のお身体があった頃からお話は聞いていたらしい。そしてその明治に信者になった。
「もうな」
「余計にだよね」
「ついてな」
「それで一族に配るだけじゃなくて」
「お寺や神社にお供えしていたけれどな」 
 その頃からだ。
「さらにな」
「天理教の方にでもだよね」
「お供えでな」
「ついて送ってるね」
「ああ、だからもうな」
「一族総出でついて」
「そしてな」
 それでというのだ。
「送らせてもらってるんだよ」
「そうだよね」
「だからよく来てくれた」
「僕もついていいね」
「というかついてくれ」
 これが義康叔父さんの返答だった。
「是非な」
「来たらだね」
「ああ」
 まさにというのだ。
「ついてくれ、どんどんな」
「それじゃあね」
 僕は叔父さんの言葉に笑顔で頷いた、そうしてだった。
 頭に三角巾を巻いて髪の毛が落ちない様にしてマスクをして唾が飛ばない様にしてからつきはじめた、すると。 
 お餅は次から次にきた、まさについてもついても。
 それで僕は三度目のお餅をつき終わったところで交代となって周りに言われた。
「お疲れさん」
「まずは休憩取ってな」
「またついてくれよ」
「皆そうしてるしな」
「はい、ですが今年もですね」
 僕は一族の人達に笑顔で応えた。
「お餅多いですね」
「人手も多いけれど」
「お餅も多くて」
「それでね」
「やっぱり大変だね」
「そうですよね、もう朝からですよね」 
 お餅をついているのはだ、ちなみに今は十時だ。
「ついてますよね」
「七時からだよ」
 本家筋の義仁さんが言ってきた、大学生で僕より三つ上だ。
「もうね」
「その時からですか」
「ついてるよ、それでもね」
「まだあるんですね」
「多いからね」
 つくべきお餅がだ。 
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